027)ヒツジのシャブシャブ

 大同の代表的な食べ物を1つあげろといわれたら、やっぱり火鍋でしょう。地元では「刷羊肉」で、ヒツジのシャブシャブです。数年前までは、中央に煙突のある特製鍋をつかっていましたが、四川からやってきた鴛鴦鍋に駆逐されました。中央に仕切りがあり、ふつうのスープとピリ辛の両方を楽しめるのが受けています。
 いまでは年間を通じて食べますが、いいのはやっぱり秋から冬にかけて。野外で凍りついた身体を温めるのは、白酒と火鍋にかぎります。私なんか、肉だけでなく、モツの煮込み料理「羊雑」の大ファンになってしまいました。
 大同で有名なのが「麻地溝の羊」です。私たちの実験林場「カササギの森」の中央部の谷は、奥行きが11キロあり、行き詰まりにある村が麻地溝です。この谷には四季を通じてきれいな水が流れ、ハッカをはじめ、数多くの薬草・ハーブが育ちます。それを食べて育つから、臭みがなくておいしく、栄養豊富だというわけですね。産地で食べるここの羊は、たしかにおいしい。
 その私が、カササギの森に落ちているヒツジの糞をみて、カリカリします。植林の苗木をかじらなくても、草がなくなるだけで、生態の再生に有害だと思えるんですよ。植林の現場でみるヒツジは悪の権化で、食卓にでる羊は至福のシンボルです。そのこと1つをとっても、なんて身勝手で、いいかげんな人間だろうと、自分で思うんですよ。
  (2003年11月5日号)
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