328話）放牧のヤギ

　大同でもヒツジやヤギの放牧がずいぶん減りました。そのおかげで、草や灌木が繁るようになり、全体として緑が濃くなってきました。しかし、まったくなくなったわけではありません。山間の村などでは、まだ放牧がつづいています。

　緑化をすすめる立場からは、放牧を制限した方がいいと思います。そうすることで、成果があがることも、ちゃんとみてきました。

　その一方で、この7月のある日、ここの村ではありませんけど、放牧をしている農民の話をきくことができました。長いあいだ、放牧で生計を立ててきたために、ほかの方法を考えられないんですね。ふもとの村に政府が家を建ててくれたけど、畑の土地まではこなかったそう。放牧に頼らないと、生きていけないわけです。ものすごく、厳しい生き方ですね。

　私はすっかり同情してしまいました。軟弱なことです。ひどい過放牧はいけないんですけど、自然とおりあいのつく範囲で、この人たちが生きて行けるようになったらいいんですけどね。