126)石炭の街

 私が通っている大同は中国最大の石炭の街です。市の経済も石炭に依存しきっており、GDPの60パーセント以上が石炭関連。ほかには雲崗石窟を筆頭とする観光資源があり、ホテル、レストランといったものが街の規模に比してたいへん多いのです。
 石炭は産出するだけでなく消費もしています。大きな火力発電所があり、電気を北京に送っていることは以前に書きました。暖房その他にも石炭を燃やします。大工場は汚染対策ができても、零細工場や家庭なんかは手つかず。そのために大同は全国でワースト3にはいるくらい大気汚染がひどいのです。
 とくに深刻なのは冬です。日中でもマイナス10度ほどですから燃やす量がふえます。そのうえ地表の気温が上空より低いため、逆転層ができて煙が拡散しません。ホテルの窓からみていると、煙突から吐き出される煙が上にのぼらず、下のほうに降りていきます。それが地表付近に立ちこめるわけですね。
 農村を回って市内に近づくと、黒っぽいドームがかかっているようにみえます。煙のにおいが車のなかまではいってきて、ひどいときは目がしょぼしょぼする。白っぽい服は禁物ですよ、すぐに汚れるから。ちょっとおおげさにいうと、煙突のなかかオンドルのなかにいるようなものです。以前、日本でもスモッグが大問題になりましたが、これに比べれば赤ん坊のようなもの。
 【写真】冬は煙突からでる煙が上にあがらず下におりる。地表の気温が低くて逆転層ができるため。
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