321話)山でであった豪雨

 大同周辺の山をできるだけ見て歩いています。河北省の蔚県の東のはずれにある小五台山は、以前から気になっていましたが、これまで機会がありませんでした。1泊の予定で、7月23日に訪れたのです。

 金河口風景区から谷筋を登っていきます。きれいな水が谷底を流れており、それに沿って遊歩道があります。巨岩・奇岩がつぎつぎにでてきて、あきることがありません。金河寺は3年前に新しく再建されたそうで、いまも仏像などをつくっていました。

 その奥に、森林がありました。遠目にはカンバ主体にみえます。何種類か、みたことのない小喬木や灌木があります。そこまではよかったのです。

 雲が濃くなってきました。でも、周囲を山に囲まれているため、空全体はみえません。地元の人たちが道路の修理をしていました。あわてるようすがないので、私も油断していたんですね。そしたら、大粒の雨が降り出しました。その人たちといっしょに、岩陰で雨宿りすることにしたのです。

 通り雨だろうと、甘くみていたら、だんだんひどくなります。まっ暗になりました。雷鳴がとどろき、その瞬間だけ稲光であたりが明るくなります。風が強くなり、横なぐりになった雨が岩陰の私のズボンをぬらします。地元の男が、ここがいいといって、1.5mほどうえの岩のくぼみに引き上げてくれました。

 最初はよかったのです。そのうち、岩の裂け目を伝った水が、背中をぬらすようになりました。帽子もずぶ濡れ。小さなくぼみで、不自然な姿勢をとっているうちに、足がしびれてきました。さむい、さむい! 小降りになった機会にそこを降りました。途中の岩陰でもういちど雨宿りし、やっとの思いで、ふもとの宿にはいりました。

 乾燥地のことで、そう長く雨がつづかないことを知っていても、あの雨の勢いをみると、このまま夜まで降りつづいたら、どうなるものかと、不安になりました。くるときの清流が、帰りはまっ茶色の濁流に変わっていました。夜になってまた雨です。
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