1115話)南天門自然植物園の変遷(3)

それらの自然林をみたことで、緑化にたいする私たちの信念も大きく変わってきました。森林が成立する自然の条件はたしかにあるのです。どこでもとまではいわないけど、あるところにはある。

それなのに、山という山が丸裸になっているのは、人為的な要因が大きいのです。まずは過剰な耕作、つぎに過剰な伐採、過剰な放牧、その原因としての過剰な人口。

余計なことですが、原油価格があがると、石炭価格も上昇します。大同は石炭産地ですから、農村でも石炭をつかうことがあったんですけど、価格が上昇すると農民には買えません。その圧力が山にむかうんですね。ニューヨークあたりで原油価格が揺さぶられると、太行山の山の木が失われるのです。風が吹けば桶屋が儲かる、どころではありません。グローバルに動くわけです。


では、なぜここでは森林が自然に再生してきたのでしょう。ナラの標本をとって年輪を調査し、周囲を観察するなかで、森林再生のストーリーを組み立てました。

この山のふもと、村に近いところにアブラマツの造林地がありました。1960年代に植えられたものです。20年もたつと、下枝が燃料としてつかえるようになります。村の近くでまかなうことができれば、山のうえまで登ってくる人はいなくなります。そのうちに村からの道も灌木におおわれてしまいました。

人が木を伐ったり、放牧をしなければ、森林はほんとうに再生してくるのでしょうか。立花先生の植物園計画は、さらに大きな意味をもってきたようです。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 1114話)南天... 1116話)南天... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。