1128話)南天門自然植物園の変遷(16)

乾燥地の植物にみなさん、どういうイメージをお持ちでしょうか? 厳しい環境にジッと耐え、けなげに生き抜いている。そういう例も多いのでしょうけど、そのいっぽう、私たちが想像できないくらい、強く、勢いがあり、生き生きしているものも少なくありません。

地面に落ちた種は、ちょっとでも雨がふると、すぐに発芽して、わずかの土、わずかの水分で育ちます。一例をあげると、イトハユリ(山丹)は光沢のある濃い朱色の花をつける野生のユリです。この色で花が大きいと敬遠したいところですが、小さなかわいい花で、私も大好きです。

種から育てて、最初に開花させたとき、大喜びで立花吉茂先生に報告しました。返ってきた答えは「ああ、あのユリは育てやすいからね!」というもの。

その意味を今年、しっかりと自覚しました。プランターに蒔いていた日本のササユリが何本か発芽したのです。ラベルをみると、2013年11月に播種しています。3度めに迎えた春にやっと芽をだしました。

それにたいして、イトハユリは種を蒔いて水をやると、4~5日後には発芽しますからね。そして、あまり病気にもかからない。とても育てやすいのです。大違いですね。

南天門自然植物園の苗圃のところに、このイトハユリがまとまって生えていたことがあります。周金さんが手もみしながら、「こうやって種を落としたら、こんなに生えてきた」と話してくれました。

それにしても、南天門自然植物園の周囲で、日向斜面でここまで緑になっているところはほかにありません。私たちが保護し、柴刈りや放牧から守っていることの意味はとても大きいのです。
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