204話)チチアワタケ

 キノコの話が2話つづきます。登場人物もだぶっています。でも内容はかなりちがいます。
 私たちが植えたマツもだいぶ大きくなってきました。そのなかには、従来からむずかしいとされてきた南斜面で成功した采涼山プロジェクトがあります。この成功を支えたのが、地元の草の根の技術「雨期整地」と、前号に登場した小川眞さんが技術指導をされた「菌根菌」をつかっての育苗です。
 菌根菌は、キノコやカビのなかまの土壌微生物です。植物の根と共生し、栄養を植物からもらうかわりに、植物の根と土との結びつきを強めて、植物の生長を助けます。
 采涼山に植えたマツ苗には、地元産のアミタケと、チチアワタケをつかいました。2000年春に植えたんですけど、去年あたりから、キノコがではじめました。やったあ! ことしは夏の雨が少なく、なかなかキノコがでなかったんですけど、ありました、ありました! チチアワタケです。
 でも、マツの根元ではなく、マツの列の中間に混植したヤナギハグミ(サージ、沙棘)の根元に多い。私がそういってふしぎがると、「まあ、みなさい」といって、小川さんがその周囲の土を掘ってくれました。考えるのではなく、パッと行動されるんですね。
 なるほど、ヤナギハグミの根元まで、マツが根を伸ばしています。ヤナギハグミの根には放線菌が共生して、空気中のチッソを地中に固定します。マツも、そのチッソがほしいのでしょうね。そして、そこからキノコが発生しているのです。
 この菌根菌のこと、11月29日放映のBS朝日の番組 「よみがえれ!緑の大地--中国黄土植林プロジェクト17年目の挑戦」でもくわしく取りあげられます。お楽しみに!
http://www.bs-asahi.co.jp/daichi/

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