145)主役は灌木

 内蒙古の阿拉善(アラシャン)で最初に訪れたのは石川県に本部のある「世界の砂漠を緑で包む会」の現地プロジェクトです。正直なところ私はこの名前に怖じ気づいていました。世界中の砂漠を緑化するなんて、とんでもないと思っていたからです。なんてことをいえば、じゃあお前のところはどうなんだ、といわれそうですね。こちらも「緑の地球…」
 やられていることはすべてもっともなことで、私は安心し共感しました。主役になっているのは乾燥につよい灌木です。生育は速くても大量の水を必要とするポプラを乾燥地に植えるのは正道とはいえないでしょう。草だと枯れてしまうところでも木質化する灌木は生き残ることができます。井戸を掘り、地下水による灌水の準備もされていますが、それは非常時用で、ふだんは使用しないそう。
 前号で紹介したように、ここの砂漠化は流動砂丘によって進行します。先の尖った矢印のような砂丘の鼻先に灌木の緑化帯をつくることで、その進行をくい止めることができるのです。そう大きくない緑化帯でも効果を発揮しているのをみて感心しました。
 NGOとしての悩みも共通しています。助成金などは新しいプロジェクトしか対象になりません。それで事業を拡大すると、その後ずっと管理が必要ですが、その費用は自分たちでつくらないといけません。大きくすればするほど、自分の首を締めることになりかねないのです。私たちもそう。
 【写真】人工的に植えられた灌木。比較的小さな緑化帯でも効果的に砂漠化を止めている。
 (2007年9月5日号)
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