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1248話)小老樹(4)

大同で私たちが緑化協力をはじめた直後に高名な先覚者に「黄土高原ではじめるとは、シロウトは勇敢だ。成功することがあれば君たちがいちばんだ。でもあそこでは木は育たないよ」と言われたことがあります。

小老樹の林のなかで暗澹たる気持ちになったのは、そのことを思いだしたからです。

そして、なんとない違和感に最初に気づいたのは足の裏です。土の感触がやさしいんですね。あっ、ここを書いていてその情景が詳細によみがえってきました。

そこは懐仁県の新家園郷で、青年団の県委員会書記の田東さんがいっしょでした。彼にスコップを借りてきてもらい、土を掘ってみました。驚いたことに、かなりの深さまで黒い土に変わっています。

そこに数十年も樹木があったのは偉大なことで、毎年、落ち葉や枯れ枝を落とし、それが微生物によって分解され、腐葉土になって土を肥やしたのです。1993年の秋のことです。

そのころから、小老樹の林を改造して、果樹園などにする試みが各所でなされました。植物を育てるうえでいちばん大切なのは土づくりです。つくるといっても、人ができるのはわずかなことで、本質的には、植物がつくりだした有機質におっているわけですね。

小老樹の林を改造してつくる果樹園などは、その問題が解決されているわけです。

そのような私の驚きを短い文章にまとめ、中国人の友人に訳してもらったら、それをみた大同市林業局の技術者が、地元紙『大同晩報』(1994年8月)に掲載してくれました。それを機に、私は「小老樹主義者」のレッテルを張られることになったのです。

ついでに書いておくと、田東さんはその後、出世して共産党朔州市委員会の秘書長になり、私はいちど彼を訪ねたことがあります。
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