1173話)酒のしくじり

酒の話のつづきで、昔話をしましょう。1994年春のことです。この時、共青団大同市委員会の祁学峰副主席がこの協力事業を担当することになり、渾源県、広霊県、陽高県などの農村をいっしょに回り、農家に泊まりました。農家で育った私とちがって、彼は都会っ子で、農村は初めてですので、私よりつらかったようです。
渾源県照壁村の前党書記の家で夕食をごちそうになりました。その家には猛犬がいて、太い鎖を力いっぱい引っ張って、吠えたててきます。それを抱き止めている主の背中をすり抜けて、家にはいりました。
私は中国語を話せません。その場のだれも日本語を解しません。ただ乾杯をしてサカズキを空けると、うれしそうに笑ってくれるのです。繰り返すうちに、酔っぱらってきました。
ほっぺたをまっ赤に塗った若い娘さんがお酌をしてくれます。もう飲めないといって私がことわると、「若い娘の面子をつぶしていいのか」といって周囲がはやしたてます。また、ガンベ~イ。
すっかりできあがってしまいました。そして、帰り口で、あの猛犬を抱き上げ、「犬はおれの老朋友だ!」と叫んで、振り回したのです。みなさん、いつ噛みつかれるかと思って、肝をつぶしたんですよ。
それより何年もまえ、「猛犬注意!」のステッカーのある家を専門にねらう泥棒が捕まったという記事を新聞でみました。犬さえ手なづけたら入りやすいというのです。それをまだ幼かった長男坊に読んでやると、「新聞っておもしろいことが書いてあるんだね」といったので、しっかり覚えていました。
悪用されると困るので、細かくは書きませんが、私はそれを試してみたのです。もちろんしらふでは試す気にはなれません。抱き上げたのが若い娘でなくてよかったのです。
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こんないい酒ではありません。 (高見)
2018-02-13 10:28:52
ふだん農村で口にするのはこんないい酒ではありません。いちばん安い高粱酒は1斤(500g)が2.7元でした。フタが王冠なので、開けたら飲みきるしかないんですね。量り売りの白酒(散酒)はさらに安くて1斤が2元。
 
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