117)乳牛の飼育

 8月にホームステイした農家に乳牛がいました。朝6時前にでかける牛のあとをつけると、なんと村中の牛が一か所に集まります。牛の列にまぎれてレンガの建物に入りこむと、搾乳機がズラーッと並んでいました。牛がつながれるとすぐさま若い男女が消毒薬をつけた布で乳房をふき、ガラスの筒を取り付けます。大きなガラスのボトルに白い牛乳が吸い取られていきます。となりの部屋にはステンレス製の大きなタンク。
 中国最大の乳業集団「蒙牛」の投資による牛舎で、百頭ほどの乳牛が飼われています。村の農家も6百頭ほど飼っており、その乳もここで搾っているのです。農家の牛舎は清潔にほど遠いし、農民の衛生観は怪しいもの。企業が直接管理しているわけです。
 農民の話によると、年間3百日は搾乳でき、いい牛は日に35キロ、だめな牛は15キロ、平均25キロだそう。乳価はキロ1・6元ですから粗収入は年平均1万2千元。大の男の出稼ぎ日当が30元で、それに匹敵します。メスの子牛は2千元で、安くなったのは農家に行きわたったから。最初は初期投資で、のちにはこれも収入になります。「ブタだと穀物飼料も必要だけどウシは草でいい。冬はトウモロコシの茎葉を食べさせ濃厚飼料をたまにやる。ウシは農作業にも使えるから絶対に有利」とも。
 現代化にともなって都市では食生活が変化し、乳製品の消費が急増中です。都市の発展がゆっくりと農村に及ぶ1つの例でしょう。
 【写真】「蒙牛」集団の牛舎に村中の乳牛が集まって搾乳する。都市の変化がゆっくりと農村に及んでいる。
  (2006年10月5日号)
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