797話)1人あたり年収230元の村

 1993年秋のことです。大同市青年連合会副主席の劉懐光と2人で霊丘県にいきました。そのとき劉懐光は、別件で貧しい村の小学校にいくといいます。私もついていきました。上寨鎮の村なんですけど、それまでこれほど貧しい村はみたことがなかった。一人あたりの年収が230元だといっていました。当時のレートで6000円弱でしょうか。

 零下30度近くになるのに、窓は障子張りで穴だらけ。屋根は波うっています。薄暗い教室に、裸電球が1個。1年生から3年生までが1つの教室で勉強しています。4年生以上は大きな村の学校にいっているとか。「何人がいっているか、自分にはわからない」とその先生。

 失学する子は女の子が多いのです。すべての子を学校にやれないとなると、優先するのは男の子です。「文盲は娶るな!」といったスローガンがあるんですけど、これは女の子も学校にやらないといけない、ということをちょっとひねって表現しているんですね。

 劉懐光にとっても驚きだったようで、その晩、「高見、きょうは飲む気になれない」といって酒をことわってきました。私もその晩、県の招待所の冷たいベッドで、いろいろ考えたのです。こんなところで、「地球環境のために木を植えましょう!」などというのは、空語ではないかと。
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Unknown (土八路)
2012-06-17 08:30:46
1937年9月下旬、八路軍の115師団が上寨鎮で集結や戦前動員を完成していたそうです。

当地人々の生活はその時代と比べれば良くなったかどうかは言い難いです’
 
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