404話)マツグミ

 天橋立のマツの木に、ヤドリギがついていました。落葉広葉樹についているヤドリギはこれまでもよくみたことがあります。日本だけでなく、大同の霊丘県で、ナラやポプラなどにたくさんついているのをみました。南天門自然植物園の李向東は、わざわざあの種を園内の木につけて発芽させ、「これで樹種が一つふえた!」といって、よろこんでいました。

 それから自宅の近くの山で、ヒノキバヤドリギをみつけました。ヒノキバは漢字で書けば桧葉で、葉のかたちが針葉樹に似ていますが、宿主はやはり広葉樹です。これらのヤドリギは葉緑素をもっていて、自分で光合成をしますから、100%の寄生ではありませんけど、水やミネラルなんかは宿主のものをいただいているのでしょう。

 でも、マツのような針葉樹にヤドリギがついているのははじめてみました。まあ、マツは冬でも葉が青いので、ヤドリギがめだちませんから、見逃していたこともあるのでしょう。マツグミというそうです。
 
 伊藤武さんの紹介がたいへん興味ぶかかったのです。マツの養分を盗る寄生木と考えて、最初のころは取り除いていたそう。ところがたくさんのマツをみるうちに、マツグミがついているマツには、マツクイムシによる松枯れがみられないそう。だから最近は取り除くことをしなくなった、ということです。

 おもしろいですねえ。実証はむずかしいでしょうし、そういうことを研究する人もいないんでしょうけど、メカニズムがわかったら、役に立つでしょうね。李向東のような人間が、あちこちのマツにマツグミの種子をつけてまわったりして。
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コメント
 
 
 
伊藤さんと同じ考えの人も (高見)
2010-11-29 15:53:12
伊藤武さんは京都樹木医会の会長で、マツについてたいへんくわしい方です。マツグミと松枯れの関係について、同じ印象をもたれた方があるようです。
http://koya-forest.jp/blog/2010/02/post-84.html
それ以上のことはわかっていません。この京都の国立大学の先生について、ご存じの方があったら教えてください。
 
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