310話)菌根菌の菌糸

このブログで、菌根菌のことをしょっちゅう紹介しています。菌根菌を共生させることで、劇的な効果がでるからです。その結果には、現地で指導してくださった小川眞さんも驚いたくらい。

考えられる原因がいくつかあります。日本のように恵まれた自然環境では、菌根菌は、たいていのところに存在します。ところが大同では、菌根菌が存在しないか、ひじょうに少ないので、人工的に接種すると、その効果が劇的にあらわれます。

もうひとつの理由は、黄土丘陵の、とくに南斜面などは、植物の生死にとって、ギリギリの環境です。ちょっとした助けがあるかないかが、生死を分けます。菌根菌が、そのちょっとした助けを提供するわけですよ。私たちだって、困っているときほど、少しの助けでも、ありがたいと感じるでしょ。

マツに共生する菌根菌は、外生菌根菌といわれるもので、キノコのなかまです。植物の根の細胞と細胞のすきまに菌糸を伸ばし、他方で土のなかに菌糸を広げます。そうすると、根と土との結びつきが強まり、土壌中の水分やリンなど肥料分の吸収が効率的になるわけですね。結果として、乾燥に強くなり、生育がよくなる。むずかしいと思われた大同県聚楽郷の采涼山プロジェクトが成功したのは、この菌根菌の作用も大きいのです。

菌根菌が共生しているかどうかは、肉眼でたしかめることができます。実体顕微鏡やルーペなどがあれば、もちろん、そのほうがいいんですよ。采涼山で地表近くのマツの根を掘り、そこについている菌糸を撮影したのが、これです。白いカビのようにみえているのが、菌根菌の菌糸です。
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