はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

早稲田実業対駒大苫小牧

2006-08-24 20:18:09 | 出来事
夏の甲子園決勝。前日15回フルに戦っての引き分け再試合。
回は九回裏3-4。しかも同じ回に1-4から追い上げての最後の打席。バッターボックスには田中将大。投手はもちろん斎藤佑樹。
これ以上はないというほどにドラマッチクな場面。ブックを描けない高校野球の、筋書きのない最終局面。ライバル対決。
テレビの前で、球場で、多くの人間が固唾を飲んだ。試合を観戦している誰もがその勝負に酔いしれた。
最後は直球。144キロがズバリとキャッチャーミットにおさまった。
サイレンとともに、4112分の1を決める戦いは終わりを告げた。

観客もまばらになった甲子園で、田中は三度、宙を舞った。
幼さを残す表情には、連日きな臭い話題が多かったスポーツ界に涼風をとか、実力をアピールしてプロにとか、そんな打算や駆け引きは微塵も感じられない。
なぜか。
仲間と共に磨き上げてきた実力。
チームの牽引役としての責任。
そういったものを彼が信奉しているから。
だからこそ、その目に涙はない。
悔しさも、無力感も、超越した誇りが胸にある。
それのみを抱えながら、観客もまばらになった甲子園で、田中は三度、宙を舞う。

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