はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

Iと同質のW

2006-08-01 20:57:05 | 会社
三人部屋に三人で住んでいる。同じような部屋が下の階にもあって、そっちには新人たち三人が住んでいる。
そのうちの一人に、Iという男がいる。人と争うことを好まない穏やかな性格で、空をたゆたう雲のように、ぷかぷかと漂うように生きている。攻撃的な職場の人間関係の中ではその性格は格好の標的で、Iはいつも周りの人間にいじられながら生きていた。
夢も野望もなく、決まった趣味も持たないIの休日は、とてものんびりとしたものだ。
車で5分のところにある書店で何時間も立ち読みし、寮の前にあるセブンイレブンを同室のWと二人で日に5回うろつき、その同室のWの部屋でテレビを見て、それでも暇ならダイニングにある足踏み機で足踏みし、そのよさを同室のWに宣伝して踏ませ、最終的には二人で入れ替わるように散歩に出かける……日課に散歩のある19歳の青年たちは、世間にそう多くはあるまい。
そんな生活を周囲からからかわれるIにも、ようやく趣味といえるような趣味ができた。ドライブだ。
中古で買ったシルバーのヴィッツを駆って、縦横無尽に旅をする。だいたいの場合一人だが、時に同室のWを連れていくことがある。
今度二人してメンズエステに行くことを楽しげに語るIを見ながら、ふと思い出す。こういう関係をなんと言うかを。その気恥ずかしい響きも含めて。

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