はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

ライアー・ライアー

2006-09-04 05:29:34 | 会社
M公園の野外ステージに、夏の最後の陽が降り注いでいた。アマチュアバンドのライブを聞きにきた人たちの影が、くっきりとアスファルトに落ちている。風が吹いているのが救いで、暑さはさほど厳しくない。
適度にビールを含んだ肉体が、しきりに眠りを求めていた。猛爆ドラムも、うねるようなギターソロも、絶唱ボーカルもすべては子守唄のようにしか聞こえず、僕はひたすら船を漕いでいた。
隣の席の女の子が声をかけてきた。
「大丈夫ですか?」

会社の同僚と5人、アマチュアバンドの野外ライブにいった。本来ならばA君とデートする予定だったのだが、参加ロックバンドのギタリストの一人がやはり同僚であったため、「たくさんいってあげたほうが喜ぶよ」とのAの意見に従った結果だった。
僕とA君は会社の同僚で、それ以上の関係ではない。
建前では、そういうことになっている。
なるべく親しくしないように一定の距離をとって。でもまったくの無視はしない。
バランス感覚が問われる日だった。

嘘をつくのが好きではない。
A君との関係を皆に隠すのも、心理的にプレッシャーになっている。
だからといって打ち明けてしまうわけにもいかないのが辛いところ。
でもきっと、人生の中でこういう時期ってそう多くはないのではないだろうか。人によりはするのだろうけど、僕だってせいぜい2回目。
しかも、今回は本気だ。
将来、二人で老後を迎えながら、しみじみと回想するのだ。この絶妙な時期を。
だから僕は、笑顔で嘘をつく。

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