引きずり込まれた-。
その展開にぞっとした。
後半突入後、1点とはいえリードしているはずの日本がなぜか中盤をキャンセルしての攻め合いに応じていた。戦場は日本のゴール前とオーストラリアのゴール前の二箇所のみ。繋ぐのは中盤選手ではなくロングパス。つまりは三十度を越す酷暑の中、いきの良い敵フォワードたちとのガチンコの殴り合い。日本人選手の頬を流れる汗は、失われていく体力そのものだった。
ハーフタイム。ジーコはいっていた。この気候の中、相手を動かして体力を消耗させよう。リードしているチームのサッカーをしよう。
だがヒディングの狡猾な采配の前に、すべては泥沼の中……。
たしかにこの日、柳沢の調子はよくなかった。ボールを受けたり、スペースを作ったりというテクニックでは日本代表の中でもトップクラスにうまい選手だが、最後の最後に周りの選手と呼吸があわず、得点チャンスを逃していた。だから、柳沢を下げるのはうなずける。
だが遅すぎた。
代わりに小野をディフェンシブに使い、DFとMFの連結とする、というのもわかる。攻めることよりも何よりもラインコントロールが重要だった。戦線を収縮させねば命に関わる。
だが遅すぎた。
結果的には小野の投入後、伸びきった戦線のままで日本は戦闘を行い、同点に追いつかれ、逆転を許し、追加点を決められた頃には観客の間からヒステリックな悲鳴が上がっていた。
そして大黒投入。
すべては遅く、タイミングを逸していた。
サッカーワールドカップ日本初戦
日本はオーストラリアに1-3で敗北を喫した。
再三スーパーセーブを連発した川口の奮闘むなしく、黄金の中盤も鉄壁のディフェンスラインもずたずたに切り裂かれた。ファンの声援、絶叫、涙。何もかも、ドイツの空に消えた。今はただ怨霊のように、蜃気楼のように漂っている。
その展開にぞっとした。
後半突入後、1点とはいえリードしているはずの日本がなぜか中盤をキャンセルしての攻め合いに応じていた。戦場は日本のゴール前とオーストラリアのゴール前の二箇所のみ。繋ぐのは中盤選手ではなくロングパス。つまりは三十度を越す酷暑の中、いきの良い敵フォワードたちとのガチンコの殴り合い。日本人選手の頬を流れる汗は、失われていく体力そのものだった。
ハーフタイム。ジーコはいっていた。この気候の中、相手を動かして体力を消耗させよう。リードしているチームのサッカーをしよう。
だがヒディングの狡猾な采配の前に、すべては泥沼の中……。
たしかにこの日、柳沢の調子はよくなかった。ボールを受けたり、スペースを作ったりというテクニックでは日本代表の中でもトップクラスにうまい選手だが、最後の最後に周りの選手と呼吸があわず、得点チャンスを逃していた。だから、柳沢を下げるのはうなずける。
だが遅すぎた。
代わりに小野をディフェンシブに使い、DFとMFの連結とする、というのもわかる。攻めることよりも何よりもラインコントロールが重要だった。戦線を収縮させねば命に関わる。
だが遅すぎた。
結果的には小野の投入後、伸びきった戦線のままで日本は戦闘を行い、同点に追いつかれ、逆転を許し、追加点を決められた頃には観客の間からヒステリックな悲鳴が上がっていた。
そして大黒投入。
すべては遅く、タイミングを逸していた。
サッカーワールドカップ日本初戦
日本はオーストラリアに1-3で敗北を喫した。
再三スーパーセーブを連発した川口の奮闘むなしく、黄金の中盤も鉄壁のディフェンスラインもずたずたに切り裂かれた。ファンの声援、絶叫、涙。何もかも、ドイツの空に消えた。今はただ怨霊のように、蜃気楼のように漂っている。
めでたいな