タオルを投げこもうとした手が止まった。汗を飛び散らせ、血を滴らせながら戦う親友の表情に、ロッキーの瞳は吸いつけられた。
怒号が炸裂する。悲鳴がこだまする。激しく叩きつけられるゴングの音は、もうひとつの終わりを告げていた。
「ロッキー4~炎の友情~」監督:シルヴェスター・スタローン
「ロッキー・ファイナル」の公開を間近に控えてテレビ放送されたこの4作目。映画の存在を意識してか、1~3のダイジェストも流されていて興味深かった。マフィアの借金取立人や食肉工場のバイトで生計を立てていたイタリア移民の子ロッキー(シルヴェスター・スタローン)が、無敵の王者アポロ・クリード(カール・ウェザース)を倒してスターダムを駆け上がっていく様をひさしぶりに見ることができて懐かしかった。
ストーリーは単純明快だ。チャンピオンとして君臨し、最愛の妻エイドリアン(タリア・シャイア)と息子(ロッキー・クラコフ)、憎めない義兄ポーリー(バート・ヤング)と介護ロボットに囲まれて何不自由なく暮らしていたロッキー。そこへソ連のアマチュアボクシングチャンプ、イヴァン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)から挑戦状が届く。ソ連の国家をあげた科学トレーニングにより徹底的に鍛え上げられたドラゴの前に立ちはだかったのは、しかしかつての絶対王者アポロ・クリードだった。
ドラゴがどれだけ強いといってもしょせんはアマチュア。経験豊富なアポロの敵ではないとタカをくくっていた会場を黙らせたのは、ドラゴの圧倒的な戦闘能力。そして冷徹な破壊衝動。並みのボクサーの実に2倍にも及ぶ破壊力を誇るドラゴの拳が、すでに一線級を退いているアポロを絶命させた。
セコンドについていながら、なぜあの時タオルを投げこめなかったのか。ロッキーはその答えを知っていた。裸一貫からボクシングで成り上がり、財産と名声を築き上げた自分。斜陽を迎えつつあるボクサー人生が、必死にリングにしがみつこうともがくアポロの姿とだぶった。自分だったら止めてほしいか。こんな大一番でソ連のアマチュアボクサーに無様に倒されて納得できるか。そんな情けない現実を受け入れるくらいならば、甘んじて死を選ぶ。アポロ・クリードとはそういう男だということを知っていたから。
葬式後、ロッキーは打倒ドラゴのために練習を始めた。マスコミもファンも、親族や最愛の妻にさえとめられた。だがロッキーの決意は揺るがない。はるばる敵地ソ連にまで乗り込み、グローブをはめた。マウスピースを噛んだ。照明の中に一歩を踏み出した。亡き友のためにできること。人生を競いあった盟友のためにできること。それはただ、戦うこと……。
難の多い作品だ。ペレスロイカを背景にした特異な設定。語るべきところをミュージッククリップのようにしてごまかした強引なストーリー展開。1の時に感じたような感動は、もはやない。だけど、それでもブラウン管から目が離せないのは、なんといってもロッキーだからだ。大根役者スタローンをスターに押し上げたリアル・サクセスストーリー。その戦う姿に、立ち上がる姿勢に、かつて多くの子供たちが憧れた。彼らは大人になっても忘れなかった。憧憬の思い。戦意をかき立てるあのテーマ曲。
「人は変革することができる」
拍手と賞賛。星条旗をまといながら、ロッキーは叫んだ。
怒号が炸裂する。悲鳴がこだまする。激しく叩きつけられるゴングの音は、もうひとつの終わりを告げていた。
「ロッキー4~炎の友情~」監督:シルヴェスター・スタローン
「ロッキー・ファイナル」の公開を間近に控えてテレビ放送されたこの4作目。映画の存在を意識してか、1~3のダイジェストも流されていて興味深かった。マフィアの借金取立人や食肉工場のバイトで生計を立てていたイタリア移民の子ロッキー(シルヴェスター・スタローン)が、無敵の王者アポロ・クリード(カール・ウェザース)を倒してスターダムを駆け上がっていく様をひさしぶりに見ることができて懐かしかった。
ストーリーは単純明快だ。チャンピオンとして君臨し、最愛の妻エイドリアン(タリア・シャイア)と息子(ロッキー・クラコフ)、憎めない義兄ポーリー(バート・ヤング)と介護ロボットに囲まれて何不自由なく暮らしていたロッキー。そこへソ連のアマチュアボクシングチャンプ、イヴァン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)から挑戦状が届く。ソ連の国家をあげた科学トレーニングにより徹底的に鍛え上げられたドラゴの前に立ちはだかったのは、しかしかつての絶対王者アポロ・クリードだった。
ドラゴがどれだけ強いといってもしょせんはアマチュア。経験豊富なアポロの敵ではないとタカをくくっていた会場を黙らせたのは、ドラゴの圧倒的な戦闘能力。そして冷徹な破壊衝動。並みのボクサーの実に2倍にも及ぶ破壊力を誇るドラゴの拳が、すでに一線級を退いているアポロを絶命させた。
セコンドについていながら、なぜあの時タオルを投げこめなかったのか。ロッキーはその答えを知っていた。裸一貫からボクシングで成り上がり、財産と名声を築き上げた自分。斜陽を迎えつつあるボクサー人生が、必死にリングにしがみつこうともがくアポロの姿とだぶった。自分だったら止めてほしいか。こんな大一番でソ連のアマチュアボクサーに無様に倒されて納得できるか。そんな情けない現実を受け入れるくらいならば、甘んじて死を選ぶ。アポロ・クリードとはそういう男だということを知っていたから。
葬式後、ロッキーは打倒ドラゴのために練習を始めた。マスコミもファンも、親族や最愛の妻にさえとめられた。だがロッキーの決意は揺るがない。はるばる敵地ソ連にまで乗り込み、グローブをはめた。マウスピースを噛んだ。照明の中に一歩を踏み出した。亡き友のためにできること。人生を競いあった盟友のためにできること。それはただ、戦うこと……。
難の多い作品だ。ペレスロイカを背景にした特異な設定。語るべきところをミュージッククリップのようにしてごまかした強引なストーリー展開。1の時に感じたような感動は、もはやない。だけど、それでもブラウン管から目が離せないのは、なんといってもロッキーだからだ。大根役者スタローンをスターに押し上げたリアル・サクセスストーリー。その戦う姿に、立ち上がる姿勢に、かつて多くの子供たちが憧れた。彼らは大人になっても忘れなかった。憧憬の思い。戦意をかき立てるあのテーマ曲。
「人は変革することができる」
拍手と賞賛。星条旗をまといながら、ロッキーは叫んだ。