秋田県鹿角市スポーツセンターでこの18~20日まで開催された、第44回東北合体育大会卓球競技において、わが岩手県成年男子がh16年の大船渡大会以来実に14年ぶりの優勝を飾った。メンバーは北原大輝(信号機材)・皆川朝(立命館大)・大槻周瑛(法政大)の岩手国体組に本間新(立命館大)の4名で臨んだ。
初日の第1試合秋田県に対して北原・大槻・皆川で全試合3-0の3対0で完璧な勝利で、この上なく幸先良いスタートを切った。全種目の試合の中で1番最初に終わりコートを去ったのは初めての優越感を覚えた嬉しい経験であった。
2日目は3試合があるが、初めの第2試合福島県とは、昨日と同じ布陣で臨みいずれも3-1の3対0で勝ち、順調に2勝目を挙げた。
第3試合青森県は、言わずと知れた東北断トツのチ-ムであり、昨年も2-3で敗れ辛酸をなめている。しかし今年の岩手チームは一味違っていた。1番皆川は、昨年2点を献上した高橋(青森山田ー中央大)に対し、1ゲーム前半から全開、4本で取り2・3ゲームも4本の3-0で勝ち、これ以上ない出だしとなった。2番北原は、今年から日本リーグ1部の信号機材のレギューラーとして活躍し経験を積んでいて、一ノ瀬(青森山田ー中央大)に2-1とリードの4ゲーム目をジュースで切り抜け3-1で勝ち王手をかけた。3番大槻は下山(青森山田ー専修大)の速攻にタイミングが合わず0-3と敗れた。4番の北原は、高橋に隙を与えず3ゲーム目をジュースで退け3-0で勝ち、岩手県チームにとっては青森という牙城を崩し、大変貴重な一戦をものにしたのである。大会前は、4分6で劣勢と分析しており、それをくつがえす岩手の素晴らしい勝利であった。
第4試合は、宮城県との一戦だったが皆川が3-0、北原が3-1、大槻が3-0で圧倒しチームは3対0で勝利し、2日目を終わって4勝0敗単独トップに立った。同時に行われた青森県対もう一つのライバル山形県の試合は、岩手に敗れ後がなくなった青森が奮起し3対0で勝利、共に3勝1敗で最終日を迎えることになった。
この時点で、3チームの勝率関係は岩手が3-1・青森が4-3・山形が0-3となり岩手と山形戦によってこの3チームの1~3位が決定する状況となった。また、青森の2位以上が事実上決定し岩手が最終戦で1点を取った段階で2位以上(本国出場)が決定し、勝利すれば全勝優勝で負ければ2位となる計算である。
さて、山形県は全員が全国でも上位の強豪、鶴岡東高校出身の選手であり、岩手の選手は全員が専北出身であり高校時代からライバル関係であり、因縁の対決なのである。
いよいよ運命の最終日第5試合の山形戦が始まった。1番皆川は、藤田(日体大)と対戦し7月のインカレでも当たりし0-3と敗れている苦手なタイプとの一戦となった。1ゲーム目は序盤からシーソーゲームとなりジュースを繰り返し13-15で落としてしまった。2・3セット目は相手につきが巡りネットエッジが両ゲーム合わせて7本ぐらいあり、運もなく0-3と敗れ、岩手はこの大会初めて0対1からの戦いとなってしまった。これも本国体出場権と優勝に対するプレッシャーであり、これが生みの苦しみかと脳裏をよぎったのである。
2番の北原も、出だしが硬く相馬(日本大)のビックパフォーマンスもあり、1セットを7本で取られ流れが相手にますます傾いた。しかしこれからが北原の真骨頂である。先の岩手国体の1回戦対兵庫のラストで見せたような絶体絶命の場面からの大逆転劇である。気持ちと戦術を変え2セット目を3本で奪取し、相手への流れを遮断することが出来た。3セット目はジュースにもつれ込みリードを許した場面もあったが、最後まで冷静さを保ち15-13で貴重なゲームを取ることが出来た。これがチーム勝利への大きなゲームになったことは間違いない。4ゲーム目も危なげなく6本で制し3対1で勝利、本国体を決める1点にとどまらずチームを呪縛から解き放つ、貴重な大変価値ある1点になったのである。
3番の大槻は、インターハイ8関東学生リーグでも2勝を挙げている葉波(早稲田大)との戦いで劣勢が予想されたが、持ち前の速攻と緩急が冴え渡り3対1で勝利、優勝にあと1勝と王手をかけた。昨日の青森下山との敗戦から朝練習で自らを立て直し、見事に勝利に結びつけたことは本当に素晴らしく称賛に値するものだった。
4番皆川と高橋の一戦は、1番での藤田との敗戦を引きずらずに試合に臨み、1ゲームの接戦を9本で取り、2ゲームを2本、3ゲーム目を3本と圧勝し、結果3対1で山形に勝利することが出来た。h16年大船渡大会以来14年ぶりの優勝を5戦全勝で成し遂げたのである。
今大会、通算でも2点を落としただけの完璧な優勝であったことは、私の監督経験でも初めてのことであり、選手たちの素晴らしい活躍に感謝していると共に、敬意と賞賛を送りたいと思っている。
明日もミニ国について、記したいと思っている。