書体の話。石井丸ゴシック体に続き、今回も写研製品。
写真植字(写植)とそのトップ企業・写研が衰退した2020年現在でもなお、写研書体がコンスタントに出力され続けている分野と書体は、道路標識のナールで間違いないだろう。新しい道路開通やそれに伴う修正、古くなった標識の交換は、全国各地で常にそれなりの数があるだろうから。
出版や広告分野でも使われるが、どのくらい出力されているのかは、素人には想像できない。
それらと別に、ほぼ毎週、文字数は多くはないが、写研書体が新たに出力されている場面があるんだゾ。
その文字は、日本にいる多くの人が、見ようと思えば容易に見ることができるんだゾ。
その書体は、ナールや石井丸ゴシックとはまた違って独特だゾ。
その場面とは、
「クレヨンしんちゃんだゾ」(2020年5月16日放送)
テレビ朝日・シンエイ動画のアニメ「クレヨンしんちゃん」の、各話のサブタイトルコール「~ゾ」が、実は写研の書体。
僕はクレしんはよく見ているが、最近まで意識していなかった。言われてみれば、たしかに見覚えがあって、最近は見なくなっていた書体(≒写研書体)だ。
上の「クレヨンしんちゃんだゾ」は、キャラクターたちがクレヨンに扮するというか、擬人化した話。この書体で「クレヨンしんちゃん」と表示されたのは初めてではないだろうか。
ちなみに、「クレヨンしんちゃん」のタイトルそのもの(原作本は手書き文字?)も、別の写研書体。
アニメのタイトル
1985年発表の「ゴカール」という仮名のみの書体。漢字は「ゴナ」を組み合わせて使うことを前提にしていたようだ。※その後、ゴカールには漢字も追加された。この記事中ほど参照。
子どもの頃、前回の通り、テレビアニメ主題歌の字幕で、石井太丸ゴシック体とナールの存在を知り、その移り変わりをおぼろげながら認識していた。
それと同じ頃、一部でこのサブタイトルと同じ書体が使われていることも認識していた。
1985年のテレビ朝日「オバケのQ太郎(アニメ化3作目)」の歌詞の字幕がそう。
紙媒体でも、小学館の学年別雑誌の漫画の中で、吹き出しのセリフでない、例えば主人公の心象・独白みたいな所で使われていたと思う。
明朝体やゴシック体(という名前は知らなかったが)とは違い、手書きっぽい雰囲気があり、と言っても教科書体(という名前は知らなかったが)とは違って“上手な手書き文字”とも違うなと、思った。あっさりしているけれど、個性的な書体。
最近まで知らなかったが、「ファニー」という書体。
改めてクレヨンしんちゃんのサブタイトルで、ファニーを見てみる。
文字は同じであっても、時期によってその背景は16対9画面以降だけでも何度か変遷している。最近は、新型コロナウイルスで製作が滞った影響か、再放送作品も混ざっており、タイトル画面も複数が混在している。
「ちんあなごを見たいゾ」
上手くはないが丁寧に手書きした文字みたいな感じ?
1文字ごとの枠いっぱいにパーツを配した、大ぶりなデザイン。この点はナールと通じるかも。
「見」の下が長めのバランスが独特。
「ゾ」の濁点が下にあるのも珍しい。グヅブ、ひらがなの「ぞ」も同じ位置だそう。他のフォントでは「で」が下なのは普通、「ブ」で下にあるのはたまにあるが、それ以外では珍しいのでは。ただ、石井丸ゴでは「ど」の濁点が下だったが、この書体では上。
漢字は直線的で、ややぎこちなくも見える。漢字を習ったばかりの小学生が、一生懸命書いたみたい。
文字の細かいパーツのバランスが、他の書体や上手な手書き文字と違う所も多い。
漢字よりもひらがな・カタカナのほうが大きいようにも感じる。
「そ」は昔風の2画、「流」の「ム」は活字風
「夜」はちょっとヘン? 「観」の「見」はやはり下が長い、「測」の「貝」の下は「人」
「口(くち)」がカタカナより小さい
でもやはり手書きがモチーフなのかと思いきや…
「子」の2画目がまっすぐな縦棒=活字の形
「逆」このしんにょうは明らかに活字。「裁」の「衣」も
僕は小学生の頃から、しんにょうが上手く書けない。この形なら書きやすいが、漢字テストでこの形を書いたら、バツでしょう。
「遊」もだけど、この「子」は手書きっぽい?
ほかには、
「母」の右下が突き出ない平行四辺形
この「母」は活字でも珍しいが、ナール(梅や海なども)と同じ。【ファニーの「海」も同じ。末尾の追加画像参照】
あと、「ゃ」も大きめで、2画目と3画目の角度が揃っていない
「冷」の「令」が!
新元号「令和」発表の書で気になった(個人的には気に入らなかった)、「令」の下が「マ」じゃない「卩」に似た形。【10日補足・ファニーの場合、厳密には「マ」でなく「フ」と縦棒のような形。】
実際にファニーの「令」も同じ形だそう。
【10日追記】大きい「や」も小さい「ゃ」と同じ傾向。それにしてもとてもデカく見える。
「万年筆」はとても直線的
「様」どうでしょう?
右下
「様」の右下が「水」になっている。水の左側を「フ」と1画で書いているような。【末尾追加画像も参照】
この部分の部首名は「したみず」だそうだが、小学校3年生で、ここは2画に分けるもので、つなげて「フ」は誤りと習う。明朝体やゴシック体の活字であっても「水」にはなっていない。
かなり特徴的、というか間違いでは???
※ただし旧字体(環境によって表示できないかもしれませんが「樣」)では、「羊」と「永」を上下に並べるそうで、それならば「フ」だけど。
ほか、ひらがなでは「さ」「き」は最後2画がつながって活字的。なお、「そ」のように一般的に許容される手書き文字で2通りの形がある「ゆ」は2画(教科書体と同じ)、「ふ」は3画(教科書体では4画)。
クレしんサブタイトルでは分かりにくいが、長い文章にすると、文字全体が右に少し傾いている。
ということで、ファニー書体は、ペン字風フォントとか、線の太さを一定にしたユニバーサルデザインの教科書体などとは違う。手書き文字に似せることを追求するとか、教科書体的位置付けの書体ではない。
どちらかと言えば、今で言うポップ体に近い感じもするが、線は細い(ウエイト=太さ違いはなく、この1種類のみ)。
ファニーは1972年発表。作者は違うが、ナールと同年。
写研のファニーはあまり表立った存在ではなかったようだ。ネット上のごく一部の情報によれば、写研の書体を一覧にした「書体見本帳」が、定期的に印刷屋に配られるそうだが、1972年の発表後、早い段階で載らなくなったという。1973年に、別会社が別デザインの「ファニー」書体を発表したらしく、そういう絡みがあるのではないかとかなんとか。
ということは、1970年代に存在していた手動の写植機のみで扱えた書体で、後の電算写植機ではファニーは使えなかったのかもしれない。
一方で、写植機にセットするファニーの文字盤の画像は今もネット上に少なくないし、上記の通り1980~1990年代でもよく使われていた。商品としては目立たなくても、息は長かったことになる。
テレビアニメでは、上記オバQのほか、1988年の日本テレビ「美味しんぼ」でも歌詞に使われていた。作品のイメージと合わないような気もするけど…
1992年のクレしんでも、当初は歌詞に使われていた。桜っ子クラブさくら組などの。
そう言えば、この3作は、いずれもシンエイ動画製作。シンエイ動画が好んだ書体なのか?
クレしんのサブタイトルでは、背景は変わっても、1992年からファニーを使い続けていた、ような気がしたのだが…
コロナによる停滞と、ひろし役だった藤原啓治さんが亡くなったことを受け、4対3画面だった頃の作品が放送され、見ることができた。(CSのテレ朝チャンネルでは、恒常的に昔のものを放送中)
「父ちゃんは日曜も大変だゾ」2000年6月16日
また違う背景でファニー。さらにさかのぼると、
「父ちゃんの会社へ行くゾ」1993年3月29日
そう言えば最初期は手書き文字だった。でも、ふりがなはファニーだ。
昔はアニメのサブタイトルは手書きが普通だった。ふりがなだけ写植文字を入れるのは、かえって大変そう。
【2023年5月20日追記・1999年11月12日放送だと思われる「嵐を呼ぶ園児 酢乙女あい登場だゾ」は、上の画像の1993年、2000年と同じピンク系の背景に、赤い文字のファニー。】
なお、シンエイ動画では大山のぶ代版「ドラえもん」は、初回から2005年の最後まで手書きだったと思う。今の水田わさび版ではスーラ。
クレしんが、手書きをやめてファニーに代わった時期は不明。
ネット上の情報には、2010年代前半頃の一時期の短期間スーラだったとか、他のデジタルフォントを使っていた時期があったとの情報があるが、詳細不明。
また、放送作をDVDなどソフト化する時は、サブタイトル画面を新たなもの(青いDF特太ゴシック体のものを見たことがある)に差し替えることもある感じもする。
上のほうの画像の通り、現在はタイトルの下に製作スタッフが表示されるようになり、それはスーラ。そこまでファニーにこだわるなら、ナールにでもすれば…
「クレヨンしんちゃんのサブタイトルといえばファニー」なのは、事実上間違いないとは思うが、クレヨンしんちゃんのイメージと一致する書体なのかと考えると、どうなんだろう。
初期の手書きは、クレヨンで書いたような太い文字で、いかにもクレヨンしんちゃん。それと比べると、ファニーは少し大人びて(小学生くらい?)見え、幼稚園児が主人公のアニメっぽくはないかも。あるいはファニーにしても、仮にもっと太いウエイトの書体があれば、ふさわしかったかも(上記の通りPOP書体としても使えそう)。
今の各社のデジタルフォントを探せば、もっとクレヨンしんちゃんらしい文字がありそうだけど…
写研書体は、使用文字数に応じて使用料金を取られる従量制なのだそう。毎回必ず使う「ゾ」も毎回課金だろうか。
デジタル製作の今のアニメで使うには、それをIllustratorか何かでアウトライン化とかするのだろう(知ったかぶり)。そんな費用と手間をかけてまで、ファニーを使い続ける意味はあるのか。
番外編的なお話では、
これはモリサワ「新ゴ」【12日コメントで指摘いただき訂正】フォントワークス「ニューロダンUB」を斜めにしたもののはず
写研にこだわるなら、↑これも「ゴナ」にしたら…
製作側としては、写研や写植の文字にこだわっているわけではなく、ファニーという書体にこだわっているのだろう。
地味な存在ながら個性的なファニー。いつまでクレヨンしんちゃんで見られるだろう。
【2021年5月8日追記】2021年春から、サブタイトル画面の背景がまた変わって、背景や動画にバリエーションがあり、スタッフ名が出ないものになったが、書体は引き続きファニー。
※ファニーに罪はないが、2023年にはサブタイトルに誤植があった。
【2023年8月12日放送分より画像追加】
子 様 海
写真植字(写植)とそのトップ企業・写研が衰退した2020年現在でもなお、写研書体がコンスタントに出力され続けている分野と書体は、道路標識のナールで間違いないだろう。新しい道路開通やそれに伴う修正、古くなった標識の交換は、全国各地で常にそれなりの数があるだろうから。
出版や広告分野でも使われるが、どのくらい出力されているのかは、素人には想像できない。
それらと別に、ほぼ毎週、文字数は多くはないが、写研書体が新たに出力されている場面があるんだゾ。
その文字は、日本にいる多くの人が、見ようと思えば容易に見ることができるんだゾ。
その書体は、ナールや石井丸ゴシックとはまた違って独特だゾ。
その場面とは、
「クレヨンしんちゃんだゾ」(2020年5月16日放送)
テレビ朝日・シンエイ動画のアニメ「クレヨンしんちゃん」の、各話のサブタイトルコール「~ゾ」が、実は写研の書体。
僕はクレしんはよく見ているが、最近まで意識していなかった。言われてみれば、たしかに見覚えがあって、最近は見なくなっていた書体(≒写研書体)だ。
上の「クレヨンしんちゃんだゾ」は、キャラクターたちがクレヨンに扮するというか、擬人化した話。この書体で「クレヨンしんちゃん」と表示されたのは初めてではないだろうか。
ちなみに、「クレヨンしんちゃん」のタイトルそのもの(原作本は手書き文字?)も、別の写研書体。
アニメのタイトル
1985年発表の「ゴカール」という仮名のみの書体。漢字は「ゴナ」を組み合わせて使うことを前提にしていたようだ。※その後、ゴカールには漢字も追加された。この記事中ほど参照。
子どもの頃、前回の通り、テレビアニメ主題歌の字幕で、石井太丸ゴシック体とナールの存在を知り、その移り変わりをおぼろげながら認識していた。
それと同じ頃、一部でこのサブタイトルと同じ書体が使われていることも認識していた。
1985年のテレビ朝日「オバケのQ太郎(アニメ化3作目)」の歌詞の字幕がそう。
紙媒体でも、小学館の学年別雑誌の漫画の中で、吹き出しのセリフでない、例えば主人公の心象・独白みたいな所で使われていたと思う。
明朝体やゴシック体(という名前は知らなかったが)とは違い、手書きっぽい雰囲気があり、と言っても教科書体(という名前は知らなかったが)とは違って“上手な手書き文字”とも違うなと、思った。あっさりしているけれど、個性的な書体。
最近まで知らなかったが、「ファニー」という書体。
改めてクレヨンしんちゃんのサブタイトルで、ファニーを見てみる。
文字は同じであっても、時期によってその背景は16対9画面以降だけでも何度か変遷している。最近は、新型コロナウイルスで製作が滞った影響か、再放送作品も混ざっており、タイトル画面も複数が混在している。
「ちんあなごを見たいゾ」
上手くはないが丁寧に手書きした文字みたいな感じ?
1文字ごとの枠いっぱいにパーツを配した、大ぶりなデザイン。この点はナールと通じるかも。
「見」の下が長めのバランスが独特。
「ゾ」の濁点が下にあるのも珍しい。グヅブ、ひらがなの「ぞ」も同じ位置だそう。他のフォントでは「で」が下なのは普通、「ブ」で下にあるのはたまにあるが、それ以外では珍しいのでは。ただ、石井丸ゴでは「ど」の濁点が下だったが、この書体では上。
漢字は直線的で、ややぎこちなくも見える。漢字を習ったばかりの小学生が、一生懸命書いたみたい。
文字の細かいパーツのバランスが、他の書体や上手な手書き文字と違う所も多い。
漢字よりもひらがな・カタカナのほうが大きいようにも感じる。
「そ」は昔風の2画、「流」の「ム」は活字風
「夜」はちょっとヘン? 「観」の「見」はやはり下が長い、「測」の「貝」の下は「人」
「口(くち)」がカタカナより小さい
でもやはり手書きがモチーフなのかと思いきや…
「子」の2画目がまっすぐな縦棒=活字の形
「逆」このしんにょうは明らかに活字。「裁」の「衣」も
僕は小学生の頃から、しんにょうが上手く書けない。この形なら書きやすいが、漢字テストでこの形を書いたら、バツでしょう。
「遊」もだけど、この「子」は手書きっぽい?
ほかには、
「母」の右下が突き出ない平行四辺形
この「母」は活字でも珍しいが、ナール(梅や海なども)と同じ。【ファニーの「海」も同じ。末尾の追加画像参照】
あと、「ゃ」も大きめで、2画目と3画目の角度が揃っていない
「冷」の「令」が!
新元号「令和」発表の書で気になった(個人的には気に入らなかった)、「令」の下が「マ」じゃない「卩」に似た形。【10日補足・ファニーの場合、厳密には「マ」でなく「フ」と縦棒のような形。】
実際にファニーの「令」も同じ形だそう。
【10日追記】大きい「や」も小さい「ゃ」と同じ傾向。それにしてもとてもデカく見える。
「万年筆」はとても直線的
「様」どうでしょう?
右下
「様」の右下が「水」になっている。水の左側を「フ」と1画で書いているような。【末尾追加画像も参照】
この部分の部首名は「したみず」だそうだが、小学校3年生で、ここは2画に分けるもので、つなげて「フ」は誤りと習う。明朝体やゴシック体の活字であっても「水」にはなっていない。
かなり特徴的、というか間違いでは???
※ただし旧字体(環境によって表示できないかもしれませんが「樣」)では、「羊」と「永」を上下に並べるそうで、それならば「フ」だけど。
ほか、ひらがなでは「さ」「き」は最後2画がつながって活字的。なお、「そ」のように一般的に許容される手書き文字で2通りの形がある「ゆ」は2画(教科書体と同じ)、「ふ」は3画(教科書体では4画)。
クレしんサブタイトルでは分かりにくいが、長い文章にすると、文字全体が右に少し傾いている。
ということで、ファニー書体は、ペン字風フォントとか、線の太さを一定にしたユニバーサルデザインの教科書体などとは違う。手書き文字に似せることを追求するとか、教科書体的位置付けの書体ではない。
どちらかと言えば、今で言うポップ体に近い感じもするが、線は細い(ウエイト=太さ違いはなく、この1種類のみ)。
ファニーは1972年発表。作者は違うが、ナールと同年。
写研のファニーはあまり表立った存在ではなかったようだ。ネット上のごく一部の情報によれば、写研の書体を一覧にした「書体見本帳」が、定期的に印刷屋に配られるそうだが、1972年の発表後、早い段階で載らなくなったという。1973年に、別会社が別デザインの「ファニー」書体を発表したらしく、そういう絡みがあるのではないかとかなんとか。
ということは、1970年代に存在していた手動の写植機のみで扱えた書体で、後の電算写植機ではファニーは使えなかったのかもしれない。
一方で、写植機にセットするファニーの文字盤の画像は今もネット上に少なくないし、上記の通り1980~1990年代でもよく使われていた。商品としては目立たなくても、息は長かったことになる。
テレビアニメでは、上記オバQのほか、1988年の日本テレビ「美味しんぼ」でも歌詞に使われていた。作品のイメージと合わないような気もするけど…
1992年のクレしんでも、当初は歌詞に使われていた。桜っ子クラブさくら組などの。
そう言えば、この3作は、いずれもシンエイ動画製作。シンエイ動画が好んだ書体なのか?
クレしんのサブタイトルでは、背景は変わっても、1992年からファニーを使い続けていた、ような気がしたのだが…
コロナによる停滞と、ひろし役だった藤原啓治さんが亡くなったことを受け、4対3画面だった頃の作品が放送され、見ることができた。(CSのテレ朝チャンネルでは、恒常的に昔のものを放送中)
「父ちゃんは日曜も大変だゾ」2000年6月16日
また違う背景でファニー。さらにさかのぼると、
「父ちゃんの会社へ行くゾ」1993年3月29日
そう言えば最初期は手書き文字だった。でも、ふりがなはファニーだ。
昔はアニメのサブタイトルは手書きが普通だった。ふりがなだけ写植文字を入れるのは、かえって大変そう。
【2023年5月20日追記・1999年11月12日放送だと思われる「嵐を呼ぶ園児 酢乙女あい登場だゾ」は、上の画像の1993年、2000年と同じピンク系の背景に、赤い文字のファニー。】
なお、シンエイ動画では大山のぶ代版「ドラえもん」は、初回から2005年の最後まで手書きだったと思う。今の水田わさび版ではスーラ。
クレしんが、手書きをやめてファニーに代わった時期は不明。
ネット上の情報には、2010年代前半頃の一時期の短期間スーラだったとか、他のデジタルフォントを使っていた時期があったとの情報があるが、詳細不明。
また、放送作をDVDなどソフト化する時は、サブタイトル画面を新たなもの(青いDF特太ゴシック体のものを見たことがある)に差し替えることもある感じもする。
上のほうの画像の通り、現在はタイトルの下に製作スタッフが表示されるようになり、それはスーラ。そこまでファニーにこだわるなら、ナールにでもすれば…
「クレヨンしんちゃんのサブタイトルといえばファニー」なのは、事実上間違いないとは思うが、クレヨンしんちゃんのイメージと一致する書体なのかと考えると、どうなんだろう。
初期の手書きは、クレヨンで書いたような太い文字で、いかにもクレヨンしんちゃん。それと比べると、ファニーは少し大人びて(小学生くらい?)見え、幼稚園児が主人公のアニメっぽくはないかも。あるいはファニーにしても、仮にもっと太いウエイトの書体があれば、ふさわしかったかも(上記の通りPOP書体としても使えそう)。
今の各社のデジタルフォントを探せば、もっとクレヨンしんちゃんらしい文字がありそうだけど…
写研書体は、使用文字数に応じて使用料金を取られる従量制なのだそう。毎回必ず使う「ゾ」も毎回課金だろうか。
デジタル製作の今のアニメで使うには、それをIllustratorか何かでアウトライン化とかするのだろう(知ったかぶり)。そんな費用と手間をかけてまで、ファニーを使い続ける意味はあるのか。
番外編的なお話では、
これは
写研にこだわるなら、↑これも「ゴナ」にしたら…
製作側としては、写研や写植の文字にこだわっているわけではなく、ファニーという書体にこだわっているのだろう。
地味な存在ながら個性的なファニー。いつまでクレヨンしんちゃんで見られるだろう。
【2021年5月8日追記】2021年春から、サブタイトル画面の背景がまた変わって、背景や動画にバリエーションがあり、スタッフ名が出ないものになったが、書体は引き続きファニー。
※ファニーに罪はないが、2023年にはサブタイトルに誤植があった。
【2023年8月12日放送分より画像追加】
子 様 海