広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

鷹巣駅前・の~そん

2020-09-25 00:01:04 | 秋田の季節・風景
秋田県内陸北部、北秋田市鷹巣(たかのす)。
2005年の平成の大合併前までは北秋田郡鷹巣町で、北秋田市の中心地(地図上では北寄り)。
1956年からは横手市とともに気象通報所が設置されていて、アメダス導入前は、テレビの気象情報の県内各地の気温は、秋田、横手、鷹巣の3地点だけが伝えられていた。

JR奥羽本線の駅名は「ノ」が入る「鷹ノ巣」。
地名では「の」は表記しないのに、駅名では表記されるのは、一ノ関や三ノ宮と同じパターン。どれも明治開業の駅のようで、大昔はそうする事情・理由があったのか、地元を無視して決めつけたのか。
JR鷹ノ巣駅
東能代駅と雰囲気も規模も似ている。ただし、現在は、駅業務子会社委託(駅長不在)、指定席券売機(通常タイプ)設置、キオスクなしで、東能代駅の管理下。
上の写真のように、駅の裏側などに針葉樹林があるのが目を引く。鉄道防風林だそう。街中では珍しい。

JR鷹ノ巣駅の隣には、鷹巣駅がある。
右がJR鷹ノ巣駅
第三セクター鉄道、秋田内陸縦貫鉄道・秋田内陸線の駅。
JR駅とホームは連続しているが、窓口や改札口は分離。時間によっては、外に出なくても乗り換えられる乗換改札が開くのかな。いちおう線路もつながってはいるが、列車乗り入れは手作業で30分かかり、近年は行われていない。

国鉄阿仁合線を3セク化したのだから、元は1つの駅。3セク転換時に「鷹巣」に表記変更された。
転換間もない頃の本で、その理由は、「3セクの出資者の1つである鷹巣町に配慮して、町名と同じ表記に変えたのではないか」との推測を読んだ。
地名と駅名で読みは同じで表記が違うのはまぎらわしいが、事業者が違うとは言え同じ場所にある駅で表記が違うのもまた、まぎらわしい。けど、大きな問題ではないということか。


鷹ノ巣駅で降りて、駅前を歩くのは、3~4回は経験している。能代と大館という市にはさまれた、「町」にしては、にぎわっている印象だった。
駅正面から、ほぼまっすぐなアーケード商店街(「たかのす銀座通り商店街」かな?)が続く。昔ながらの低いアーケードだけど、きれいに維持されている。秋田市では管理ができないという理由でなくなっているのに。
「路線バス乗り継ぎ旅」の一行は、ここにある喫茶店で時間をつぶしている(新旧出演者どちらもだったか?)。
駅寄りのアーケード
今回は土曜昼前なので閉めているだけなのかもしれないが、シャッターを下ろした店は多かった。空き地もあった。人通りは少ない。

駅前のバス停は、アーケードのいちばん駅側に設置。
バス停名はノなし「鷹巣駅前」表記
秋北バスには「鷹巣車庫」があるが、北秋田市内、旧森吉町にある「米内沢(よないざわ)営業所」の下部組織の位置付け。
写真右の一般路線バスと空港リムジンバス用のバス停は、ローマ字・英語併記のちゃんとした表示板。同じ色分けの四角い板は、次のバス停までの徒歩の消費カロリー、車とバスのCO2排出量、距離。大館市内で表示していると聞いたが、ここにもあった。
左のバス停は、市街地循環バス。バス停名はパソコン印字だが、その下にリボン型にキティちゃんが描かれている。分かりづらいが、左上、アーケード天井から下げられた「ようこそ北秋田市へ!」にもいる。理由がよく分からないが、2018年からハローキティが「北秋田市ふるさと大使」を務めている。
ちなみに北秋田市ふるさと大使は、もう1人いる。
俳優・高橋克典氏。父親が鷹巣出身で、ご本人がテレビで発言しているのも何度か聞いた。
奥が鷹ノ巣駅
駅から遠ざかると、少し新しそうなデザインのアーケードになる。

さて、このアーケード商店街にあるのが、しんこ餅を買った「の~そん」。ローソンではない。
「ナニコレ珍百景」でも取り上げられ、わりと知られている。

要は農産物直売所。
JAは関与せず、駅前の反対側・綴子地区の人たちが作った組織が運営しているみたいだ。
そこそこ長い年月、鷹ノ巣駅前で営業しているはずで、少なくとも3度移転しているようだ。ネット上の古い情報では違う場所・写真が残っている。
現在(少なくとも2018年6月以降)は、駅を背に右側、最初の信号を越えた先のブロック。
以前は別のお店だった跡に入った雰囲気がある。
の~そん店舗
間口は広くなく、店舗入口や看板が引っこんでいるため、見落としそう。営業中はアーケードにのぼり旗が出るようだ。
店内も広くはなく、地元の農産物や手作りのお菓子・惣菜類のほか、地元の複数の菓子店の商品もひと通り置いてあった。入数や箱などはバリエーションが少ないが、駅にキオスクない分、軽くお菓子をお土産にした時は助かる。

鷹巣ではいちばん有名だと思われる「晩梅(ばんばい)」のチョコケーキ「ル・デセール」、地名にちなむチーズまんじゅう「笑内(おかしない)」などはあった。
初めて知ったのが、
黒まんじゅう
すぐ近くにある「山田まんじゅう店」の小さめのまんじゅう。透明パックに無造作に入って3個税抜210円。1個108kcal。消費期限は購入当日だった。
滑らかなこしあんで、とてもおいしい。
上小阿仁の山吹まんじゅう、銀山温泉の亀まんぢう、郡山の薄皮饅頭と並ぶと思う。鷹巣土産でル・デセールばかりお持ちになる人がいるけれど、これもお願いしたい(消費期限に注意)。

【10月16日追記】もう1つ鷹巣名物を忘れていた。やはり駅近くにある菓子店の「バナナボード」。同コンセプトの商品を全県的に売るたけや製パンのは「バナナボート」だが、こちらは「ボー“ド”」。の~そんで売っているという情報もあったが、この時はなかったと思う。

「の~そん」について。
レシートでは「鷹巣産直センター の~そん」とあった(ロゴでなく活字で)。
今の店舗入口の看板は「産直センター のーそん」。のぼり旗は「産地直売 の~そん」。
表記ゆれが多い。「の~そん」部分については、ひらがなで、チルダ「~」のようだ。看板が長音記号「ー」なのが例外。

ローソンと農村を掛けた命名なのだろうと、察しはつく。ローソンが存在しなければ、あり得ない店名だろう。かつての店舗は、水色のラインが入るなどローソンを意識したデザインだったようだ。
そんなことを踏まえると頭に浮かんだのが「♪参ってます 過疎化の農村」。

1992年からフジテレビで放送された、元々あるフレーズや歌詞のパロディを募る「タモリのボキャブラ天国」の、初期のネタである。
これの元が、ローソンのCMのジングル「???(忘れた)ます あなたのローソン」。
でも、秋田県(青森県も)にローソンが進出したのは、1997年。ボキャ天放送時は進出前で、ローソンのテレビCMは流れなかったし、自分を含めてその名前すら知らない人が多かったと思う。このネタで、初めてローソンという音を認識したかもしれない。
もしかしたら、の~そんの命名にも、このネタが影響を与えているかも。

ローソン公式サイトの「ローソンの歴史」などによれば、
1979年12月に「「あいてます♪♪あなたのローソン」テレビCM、ラジオCM開始」。
国内1号店は1975年オープンなので、かなり初期。「あいて(開いて)ます」だと「空いてます」とも取れ、イメージが良くなさそうだけど、当時は24時間でいつでも開いていることを優先して伝えたかったのか。
その後、どう変遷したかは分からないが、1991年に「 「マチのほっとステーション」をコーポレートスローガンに」している。ボキャ天当時は、変わっていたようだ。
なお、2013年に「マチの健康ステーション」になったが、最近はまた戻ったとか。


秋田県庁の以前のサイト内に、1999年の「直売所一覧(http://www.pref.akita.jp/tyosei/partnership/tyokubaiitirann.htm)」というのがあった。
よく分からないが「開始年」があって、昭和50年代以前のものもあるから、それがその直売所の開始年っぽい。
「鷹巣産直センター「のーそん」」は「H11」、1999年オープンか?


さて、鷹巣駅周辺には、コンビニはあるにはあるが、分かりにくいし、とても近いというわけではない。の~そんのほうが近い。セブン、ファミマがあって、ローソンがいちばん遠い。
また、しんこ餅の記事の通り、スーパーは駅から1.3キロほどの所に、交差点の対角線に大きなショッピングセンターが2つある。大館の「いとく」と、イオン東北(旧マックスバリュ東北)の「ザ・ビッグ」。
両者とも、以前は商店街に店があったのを、幹線道路沿いに移転したようだ。
郊外移転とも言えるが(健康で天気が良ければ)歩ける距離であり、路線バスが敷地内へ乗り入れるなど、そこそこ便利そう。移転で駅前が衰退したのは事実かもしれないが、秋田市より便利かも?

なお、ザ・ビッグは、元は同和鉱業系列のスーパー「同友」。それがマックスバリュ東北に吸収され、マックスバリュブランドに。さらにそれが現在地に移転して(移転直後はマックスバリュ店舗)、後【27日遅く・2011年10月】にザ・ビッグに転換という経緯だそう。
店舗名は「たかのす店」でひらがな書きなのが特徴的。青森県の「マックスバリュ新おおわに店」を連想したが、大鰐も元同友。同友時代の表記を継承しているようだ。
【27日追記・画像追加】WAON POINTの履歴より
Smart WAONサイトの履歴に登録されている店舗名は、転換から10年近く経つのにまだ「マックスバリュたかのす」だった。イオン東北運営のマックスバリュ店舗で実施する、月木日5倍デーは、ザ・ビッグ店舗では実施しないのだが、その変の対応は大丈夫なんでしょうね。(以上追記)

商店街から両ショッピングセンターへ、まっすぐに向かう道が国道102号。商店街寄りでは、家が建てこみ、歩道も狭かった(他の小さい道を歩いたほうが安全そう)。そのためだろう。道路標識には、
補助標識「いたわりの路!」
分かるような分からないような補助標識。速度制限標識の「規制理由」を示しているととらえていいのか。

秋田市下新城笠岡には「学童の路」というのがあった。
(再掲)
「路」という表記、角ゴシック体なのが珍しかった。
「いたわりの路!」も同じコンセプトだろうが、エクスクラメーションマークが入ること、ナール書体・反射材入りの本格的な板なのが特徴的。


最後に鷹ノ巣駅前に戻って。ずっと前、簡単に紹介していたもの。
(再掲)ポストの上
鷹巣はギネス世界記録の「綴子大太鼓」がある。そのオブジェをポストの上に載せたわけだが、小さい10号ポストに合わせたこの大きさでは、太鼓じゃなく「鼓(つづみ)」だ。
JRの駅を出た右側、観光案内所との間にあったが、今は…
今も健在
ただ、時とともに、
金属の皮部分の輝きも、胴の色も薄くなってしまった
ポスト本体に銘板があった。
山崎産業 納入平成11年11月
1999年。
ネットには、1995年撮影らしき、10号の前世代である朱色の1号角型ポストの上に、同じ太鼓が載っている画像があった。太鼓そのものは、先代ポストから移設された感じ。
秋田市ではこの世代のポストの更新も進んでいる。ここはどうなるか。

【10月3日追記】鷹ノ巣駅と鷹巣の間に観光案内所ができたのは2014年9月。
それ以前は「えきなかショップ 7 to 7」という、売店と麺類などの軽食堂があったそうだ。JRと北秋田市が協議して開店し、マタギの里観光開発(株)運営。
ホーム側からも利用でき、鷹巣駅周辺で貴重な店だったはずだが、2012年7月27日開店・2014年7月閉店の2年で終わってしまったようだ。
さらにそれ以前は、JR直営の「ハンバーガーショップ」があったとのこと。
コメント (2)
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