田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

母が逝きました 08(葬儀後半)

2014年01月28日 | 宗教その他
 棺の中の母を花で飾りました。昔は棺の蓋の釘止めを石で打ったものですが今は釘は使わず乗せるだけです。丸二日間母を守った田神家の御神刀を棺の上から、懐に納めました。次回この刀が使われるのは私の葬儀だと思うと、父の死後、三十数年が経過しているとは、とても思えませんでした。人の生き死になど、なんと短いことだと痛感したのでした。

 斎場から火葬場まで200mほどですが、霊柩車とマイクロバスで移動しました。神道では、葬儀において、御霊(みたま)を霊璽(れいじ)に移します。御霊が移された遺体は亡骸となります。御霊は家に宿り、家を守るとされるそうです。幼い頃私が聞かされたのは、「御霊は無限に大きく、空気よりも薄く人々を包む。」だったと思います。私は母の御霊が移された霊璽の納まった小さな社を胸前に抱き、霊柩車に乗りました。妻は遺影を持ちバスに乗ったのでした。
 火葬場の告別室で神主さんの奏上、私が代表して、玉串を棺の上に奉天しました。母は炉の中に消えていきました。
 バスで斎場へ帰り、休息しました。集骨まで1時間、それぞれが母の思い出を語りました。あっというまに集骨の時間になりました。再びマイクロバスで火葬場に出向き、アナウンスを待ちました。ほどなく「田神家の皆様、集骨室へお集まりください。」と呼ばれました。集骨室で、係の方に説明を受け、集骨しました。母が三十年近くお世話になった人工関節や、大腿部骨折の補強プレートも、お骨に混じっていました。思ったより小さな部品でした。全員でお骨を広い、最後に私が頭骨を入れました。これで、無事に葬儀を含めた一連の所作が終わりました。
 お骨を前にして三日祭が催されました。故郷では三日祭が普通ですが、このG市では十日祭だそうです。しかし、故郷の習慣にそって三日祭としました。仏事の初七日と同じです。この後、仏事の四九日と同じの五十日祭と続くのです。私は五十日祭を自らの手で催すつもりです。この日を持って母の骨をお墓に入れようと思っています。神主さまには「納骨の奏上も願います。」と言いました。さてさて、最後は精進落しです。
 精進落しの建前は、遺族が葬儀のお礼をするのです。精一杯のおもてなしを考えていたのですが、斎場でのお料理は二種類のみでした。私はあまり食べられませんでしたが、息子の嫁さんが「意外と美味しいかった。」と言ってました。そして、私は皆さんにお礼を言いました。
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 私達は昭和48年に結婚しました。その6年後に母と同居を始めました。あっというまの30年でしたが、忘れられない出来事があります。私と妻が結婚する時、妻のお父さんが「田神さんが三男坊だから、娘との結婚を許すのだよ。」と言われていたことです。それから6年後に、その約束を破ってしまいました。きっとお父さんお母さんは、我が娘の行く末を案じられたと思います。私の母も、申し訳ない気持ちであったと思います。
 住み慣れた故郷を離れた母に、二人の子の面倒をみてもらい、言いたいことも言わせてもらいました。それを母は生きがいと言い、喜んでくれているようにも見えました。また、私達も、そう言う母に甘えていたと思うのです。
 昨年暮れ、母の死期をさとり、母の身の周りを整理しました。趣味だった習字の練習帳に、母の書置きを見つけました。一昨年書かれたものでした。動きが悪くなった指を懸命に動かして書かれたものでした。私と妻はそれを見て、故郷から母を我が家によび、共に暮らしたことが間違いではなかったことを確信しました。また天国の、妻のお父さん、お母さんに申し開きもできます。どうぞ皆さん、母の下手な習字ですが、母の気持ちを読んでください。と言って書置きを見ていただきました。母の小さなアルバムも、妻のお父さんお母さんの写真を納めたタブレットも見ていただきました。

 最後に、この席にいない私の兄ですが、宗教的な理由から、一切の宗教行事には参列しません。いつか、いや、近いうちに、必ずこの宗教の誤りに気づくと思います。そのときは、ただ墓参りをしてくれれば良いと思っています。私は、今までのことは何も言わないつもりです。すべてを水に流せます。どうぞ皆様も、そんな兄に会うときがありましたら、過去は問わず、未来のお話をしてあげてください。よろしくお願いいたします。こんな私たちですが、今後ともよろしくご指導ください。
 どうにか、言えました。感情をコントロールできました。本当は涙を流したかったのですが、幼い頃から「男だったら、泣かずに言え。」と言われていた六兎です。末っ子の甘えん坊の六兎が、最後の最後で、男らしさを演じました。帰宅後の妻が「六ちゃんお疲れ様、惚れ直したよ。」だってさ、チョッピリ嬉しかったオイラです。これにて葬儀のお話は完結です。お読みくださりありがとうございました。