治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

ギョーカイが社会の要請に応えていない件

2018-10-29 09:18:43 | 日記
さて、6年前の記事なのにつねにアクセスとコメントが絶えない

医師も逃げ出す迷惑アスペルガー



ですが

おかげさまで

「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」のお得なKindle版



がじわりじわりと売れています。

そしてコメント欄を読んでみて気づいたのですが、初めは私、わりとマメにレスしていたのですね。
最近は記事にしてお答えすることが多いですね。
というわけでここらでひとつ記事にしようと思います。
昨日いただいたコメントから。

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発達障害やアスペルガーは「免罪符」にならない (成田あいる)
2018-10-28 23:01:22
連投失礼いたします。
皆様のコメント、そしてこのエントリを改めて読ませていただきましたが、そのような人たちに悩まされ振り回されている方が本当に多い、と改めて感じました。
発達障害関連のニュースのヤフコメを見ていても、そのような人に苦労している人達のコメントを多く見かけます。
私の職場でもそうですが、そのような人を抱えている職場は常に「炎上」していますし、何度口を酸っぱく言っても元の木阿弥・同じことの繰り返しです。
そのためどんなに柔和な人でもキレて893になりますし、溜息・舌打ち・捨て台詞の連続です。

発達障害の人たちに対して、「「メガネ」が無くても、盲導犬でも杖でも導入しようとしていますか?少しでも見えようとしていますか?」と言うことは冗談で無く言えると思います。
あるブログでのコメント欄ですが、発達障害でアスペルガーである方が、それを盾に、ブログの内容とは全く関係ない言いたい放題のコメントを長々と、次々と投稿しています。

https://ameblo.jp/mumuchan2027/entry-12409613045.html#cbox
https://ameblo.jp/mumuchan2027/entry-12408617699.html#cbox

こういう人は、何か改善のためのことをしているのでしょうか?
だからこそ、「発達障害だからこそ何をしても許される、どんな我儘でも認めてくれる」は大間違いだと思います。
また、こうした人に振り回される人(職場の人たちや家族・友人・ブログ管理人ら)も不憫でありません。
↓は、これを上手く言い表しています。

https://ameblo.jp/koji-sano/entry-12407471632.html


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これが社会の要請だと思うのです。
「改善してほしい」ということが。
とかいうとまた「条件付きの愛」とかいうのですが、親子間ではなく社会人と社会人の関係だから、アプリオリに愛があると想定しない方がすっきりします。
とにかく迷惑な特性は迷惑。
社会は支援に予算が割かれているのなら、これを改善する試みを何かやっているのだろうと素直に信じています。私もそうでした。
そういう意味で今の支援は「反社会的」なのです。
花風社がやっていることは社会的で、ギョーカイがやっていることは反社会的なのです。
社会の側から見れば治ってもらいたいに決まっているからです。

私は当該事件を抱えたとき、加害者を診断と治療()した内山登紀夫医師に対し「これをありのままにするのが支援だとすれば自閉症支援とは反社会的行為なのか」と問いかけたことがあります。もちろん答えはありませんでしたが。
けれどもラポール横でポンコツさんみたいな人が支援に当たっている限り、現行の支援とは反社会的なのです。社会の要請に応えていないのですから。

一生治らないけど工夫で改善できる

と言う人は多いですが
そういう人はたぶん、改善した人すらそれほどたくさんは見たことがないと思います。
ましてや言葉以前のアプローチの効果を目の当たりにしている我々のように
「これはもう改善とは言えない。治ったとしか言い様がない」
という変わり方をした人は見たことがないのだと思います。
一人でも治った人を見ると「治るんだ」とわかるはずです。

ねてまてさんのつぶやきを引用させていただきます。

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障害者雇用が進まない理由の一端かなと思います。
誰かにサポートしてもらうのが当たり前になってしまうと、会社で、支援者でもない誰かが面倒をみなければいけなかったり。
そして、本人に迷惑をかけていることの本当の意味が伝わっていなくて、怒られたことばかりを恨まれたら?逃げたくなりますよね

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ギョーカイにとっては、未だに支援を必要とする状態、すなわち、職場に迷惑をかけるような状態で雇われるのが一番売り上げが長生きするコツなのです。
だって支援者が介入できますからね。
その産業の仕組みをみんな知っておいた方がいいですね。
でもこういうコメントもいただいていました。

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空気を読む能力 (広汎性発達障害)
2018-09-22 01:47:54
子供の頃から「変わってる」「空気読めない」「気が利かない」散々言われて来ました。
転機は28歳のある日、祖母の家に行ったときのことでした。
「おばあちゃん、パソコン借りるね」
そう言ってPCを使い始めた時、ふと考えたんです。
(もし自分がおばあちゃんの立場だったとしたら、折角孫が遊びに来たのに来ていきなりパソコン使い始めたら寂しいかな)と。
頭の中で、祖母のいる位置からPCを操作している自分を眺めるようイメージしてみたんです。
そしたら自分がどう見られているのか一発で理解できました。
初めて自分を「客観的に見る」ことを知ったのです。
会社では、上司の席から自分の席を眺めるようイメージしたりして仕事をするようになりました。
その後です。
「○○君は気が利くようになった」
と先輩が言ってくれるようになったのです。
あの時は嬉しかった。
以来、変わってるとか気が利かないと言われたことはありません。
私は発達障害ですが、空気を読む力を得ました。
だからアスペルガーの人でもその力は習得できると思っています。

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そうなのです。
こういう風に自分で気づくのが強いのです。
自分で自分を治す人になれたらあとは芋づる式に治っていく。そういう姿を私はたくさん見ています。
そしてそれには
「改善するけど治りません」
「治さないで社会が理解すべき」というギョーカイ支援は邪魔以外の何ものでもないのです。

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2 コメント

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相手にしている人たちの負担の方がはるかに重い (成田あいる)
2018-10-30 20:50:16
お疲れ様です。
私のコメントを2つも載せていただいてありがとうございます。
そして、エントリにもご紹介いただいて本当に恐縮しています。

私の職場でもそうですが、その手の人には「ここは学校や職業訓練校じゃないんだぞ!」「俺はお前の親でも先生でもねえんだよ!」と怒鳴りたくなるでしょう。
本人は毎日をストレスフルで、毎日死ぬ思いで、かつ血反吐を吐かんばかりの思いでしょうが、相手にしている人たちの負担の方がはるかに重いと思います。
その人のフォローや尻拭いで、本来の仕事に割くはずだったエネルギーを無駄にしてしまいます。
とにかくそういう人たちを相手にしている人は、毎日疲れていると思いますし、どんなに柔和で人懐っこい人でも、「荒くれ者」「やくざ者」「乱暴者」に変身します。
だから、発達障害やアスペルガーの人を相手にしているのは、まるで「介護」のようでもあります。

メディアで取り上げられる発達障害のケースは、大抵、福利厚生が充実していて、人事部や産業医が揃っている大企業ばかりです。
中小零細企業のケースは、全くと言っていいほどありません。
今は社員に「発達障害の可能性がある」と言うことで、専門医の受診を進める企業が激増しています。
企業側も、「発達障害」と決めつけることで本人の再教育を棚上げし放棄しているのではないかとも思えます。

メディアにしてもネットにしても本にしても、発達障害当事者の側からものや、「治さないで社会が理解すべき」的なものばかりで、発達障害当事者に苦しめられる側のものは見当たりませんし、見つけるのに苦労します。
浅見様も「ギョーカイ」とおっしゃっていますが、各「名医」らは診療行為だけでなく本を出したりで、まるで「一大産業」の感じであります。
昭和大学の加藤進昌医師や、福島の星野仁彦医師なども、その手のものだと思います。

発達障害支援の一つである「ジョブコーチ」だって一生つくものではありませんし、むしろ一定期間内に自立を求められます。
エントリでも紹介されていましたが、「空気を読む力を得た」と言う実体験は実に大きいと思います。
浅見様の本も、いつか読んでみたいと思います。
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辛いのは周りの人達も同じ (成田あいる)
2018-12-05 23:27:18
続けての投稿失礼いたします。

先月、NHKでは発達障害について各番組で特集を組んでいました。
相変わらず、患っている本人側に完全に偏った編成でしたが、今までと違って「医療」「支援」の側面は消えていたと感じました。
変わって、「働きやすい環境へ」と言うことで、「社員の7割以上が発達障害」と言う企業を取り上げていました。

私は発達障害の当事者ではありませんが、発達障害についてマスコミがあまりにも偏った視点でしか取り上げない事に気になっています。

先日紹介したあるアマゾンのレビューでも、

>彼らは悲しい事にメガネ={発達障害者向け支援}をくださいと言えません、自分にあった物={支援方法}を探す事もできません。

とありました。
その後に、

>それが、周囲とのコミュニケーションの失敗となり、当事者も周囲の方々も悲しく切ない思いをする事に繋がっております。

>決して一方的に虐められていると発しているわけではなく、「辛いんです」という叫びです。

とありました。
「だから発達障害の人達の苦しみを分かって欲しい」と言うのでしょうか。
何にせよ、発達障害の場合はこの「辛いんです」と言うことで免罪されがちな傾向にあると思います。

「辛いんです」という思いをしているのは当人だけではなく、毎日毎日こういう人たちの面倒を見なければならない職場の人達、振り回されている同僚や上司、家族、友人も同じだと思います。
「医師も逃げ出す迷惑アスペルガー」のコメントを見ていても、子どもがアスペルガーで親も「モンペ」だったり、発達障害・アスペの人にまるで「ストーカー」のように付きまとわれている、というケースが多い実態に驚かされました。
こういった人たちの想い、そしてこういう実態は悲しい事に社会に報じられず、伝わることはありません。
特に職場での人達は毎日毎日口を酸っぱく言っても分からないしその苦労も報われない、正に「辛いんです」と叫びたい思いでしょう。
コメントの中に「被害者がもっと声を上げられる社会になるといいのに」とありましたが、そういう声もマスコミは取り上げてもらいたいです。
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