治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

私たちのmetoo

2018-05-01 08:52:47 | 日記



昨日はNHKの放送があったのに吉川関連記事ではなくいつでも人気記事の



こっちの記事の方が多かったようです。
なんだかFBで盛り上がっているらしいですね。どういう切り口かは知らんけど。昨日から今日にかけて『自閉症者の犯罪を防ぐための提言』も売れてますね。とくにお得な価格のKindleを用意しているからどうぞ読んでみてください。訴えた人の一人称の記録ですから貴重だと思いますよ。私は、自閉症者と一緒に仕事をすることもあれば犯罪の被害にもあった人なわけです。そういう立場で真剣に共存を考えて書いた本ですから。しかもこの事件を担当し送検した元刑事の人と「遵法教育」をテーマに本も作りましたよ後に。こちらもどうぞお見逃しなく。





この人気記事では『自閉症者の犯罪を防ぐための提言』のあとの動きを書いています。あの本を出したことによって、アプローチしてきてくれた人たち。つまりそれまでに、周囲の人のアスペルガー特性によって傷ついてきた人たち。家族もいれば支援者の立場で利用者に傷つけられた人もいた。警察に駆け込んだ人もいた。警察は「医療は何をやってるんだ」と言ったそうです。そう、吉川徹センセは医療の限界を一生懸命宣伝していますが、「治せよ」というのが非医療民からの医療への期待であることは間違いなく、そういう人が野放しにされていると「医療は何やってるの」と思うのが自然な感情なわけですよ。

ところが支援者が利用者によって傷つけられたってまず事業体は利用者を守ってくれない。我慢しろとしか言われないわけですよ。何しろ相手は公費から売り上げを持ってきてくれる貴重なお客さん(めんどり)。自分ところの女性職員がお客にセクハラされても女性に我慢させるのは大手メディアも社会福祉法人も変わりはないわけです。

私の場合も被害にあい、そして最初は支援者がどうにかしてくれると思った。支援者には意欲も能力もなかった。それどころか被害認定さえされない。だから司法に頼った。そういう流れ。今のmetooとおんなじです。

発達障害関係、とくにギョーカイ関係はあらゆる差別に対しポリコレ棒を振り回して糾弾する人が多いからmetoo運動にも親和性が高いようですね。女性たちがやっと声をあげた。これまでは声をあげても「考えすぎ」とか「我慢しろ」とか言われてきた。それはセカンドレイプである。許してはいけない! とmetoo運動を支持している人も多いはず。

その人たちがアスペルガーの人物による被害を訴え、司法の場に出て、それを体験記としてまとめた私を差別者と呼ぶのならそれはそれはたいしたご都合主義ですね、ということです。私があの本を出したあと結集した仲間はmetooという意味では同じなのです。これまで被害にあってもそれをとりあってもらえない、我慢しろ、と言われてきたという意味で。

そしてこの人気記事の肝は

社会に「理解を!」と訴えている医療側がかかわりを拒否しているのになぜ社会が身を挺してまで発達障害者を受け入れなければいけないの? ということなんですね。自分がかかわりたくないのに社会には受け入れろって、それは自分のところにおいておきたくない爆弾他人に向かって投げてるようなもんじゃないですか。

ずーっと人気記事ですからコメントもいっぱいついていますが今朝起きたらまた一個ついていた。自称研究者の人から。

いわく、研究室なんていうのはアスペルガーの巣窟であってそういう性質が活きている。だから治さなくていいんじゃないか。

いや、困っていないのなら治さなくていいんじゃないですか。私は治りたい人だけ治ればいいと何度も言ってますよ。治りたくないのなら治らなくていいだけなのに治りたくてそっちに向けて努力して実際に治っている人たちにあれこれ言ってくるのに専守防衛しているだけで。

それより私はこの人、本物の研究者じゃないと思う。

なぜなら本物の研究者でアスペルガーの人は、やはりアスペルガーゆえに苦労しているし、「アスペルガーは研究者に向いている」という言論をむしろ嫌うからです。研究職だろうとなんだろうと、修行をしなければ仕事など続かないことを身をもって知っている人だけが生き残っている。アスペルガーで有利なこともあれば不利なこともある。その不利なことはやはりどうにかしたほうがいいんですよ。

「どうやったら生き残れるのか」と真剣に考えたこともない人たちが「研究職なら生き残れるのでは」と妄想を抱いているだけ、っていうことはとても多い。その言説を真に受けない方がいいですよ。

というわけで大変私ごとで恐縮ですが本日で結婚三十周年です。

それだってね、努力なしには続きません。みんな私が衝動的なキャラだと思っているかもしれないけど、私は会社を二十二年、結婚を三十年続けていることをよく知ってほしいですね。

そしてその三十年の間には、ともに法的被害を受け、一緒に民事提訴・刑事告訴を行った歴史もあるのです。それも、『自閉症者の犯罪を防ぐための提言』に書いておきました。

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