治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

気配から読む

2013-11-23 09:10:30 | 日記
11月21日の夕方、私はトレッドミルの上でお相撲を見ていた。
心拍数が上がりすぎるのでジム+お相撲はふだんはなるべく避けるのだが
この日は会食があるのだ。

それでもこの日は落ち着いていた。私が。
ここんとこ連敗している平幕相手だけれど
仕切りのときの稀勢関を見て「あ、大丈夫だ今日は」と思ったのだ。

会食でもその話をした。
よくわかってくださった。
「個を大事にする」教育に携わっている人は、こういう話よくわかります。いんちきとか決めつけない。
自分が毎日毎日やっていることだからね。気配を読むって。

みすずさんへのレスでも書いたけど
治せる人って、言葉では聞き出そうとしないし、言葉では癒やそうとしないんです。
言葉以前のところでこんがらがっている人を、いくら言葉で癒やそうとしても無理。

だからさあ
「褒めると自己肯定感が高まる」っていうのも
ギョーカイが声高に叫ぶほど効果ないのよね。
褒めて自己肯定感が高まるほど自閉っ子は安くないですよ。

そしてそういう会食では、たとえボジョレーヌーボー解禁の日であろうと
ボジョレーのボの字も出てきません。
「個」を大事にする人は、実質を見つめる。世の中の騒ぎになんか惑わされない。
だって実はまずいでしょあの酒は。
新米はおいしい。でもボジョレーヌーボーはまずいです。
だから解禁の日も、普通においしいワインをいただきました。

そして昨日
またもや安心していた。
花道の時から日馬富士が勝てる顔をしていなかった。
稀勢の里は勝てる顔をしていた。
今日は勝ったなと思った。

そうやって稀勢関周辺の気配を読む私ですが
たとえば隠岐の海vs勢 なんていう取組では、いくらイケメン同士と言え、気配なんか読みません。
私にとってはどうでもいい人たちだからね。
ふだんから観察していないし。
私はプロじゃないからそれでいいの。
きっとプロは読んでると思うよ。

こういう話すると、療育上手の人はとてもよくわかってくれるの。
そしておそらく、プロじゃなくても療育上手のパパママもわかってくれると思う。
きっと自分の子どもの気配だけは、バリバリ読んでいると思う。

こういうのインチキがる人は、たぶん療育が下手ね。
証拠は何かって? 「怒っちゃいました~」で済ませている親が療育ド下手なのがその証拠。

たま~にギョーカイメジャーの本を読むと
そういう気配がばりばりとわかっているのに、そういう自分の能力を押し殺し
一生懸命数字的に特性を出そうとしている人がいて
遠回りだなあと思うなあ。いや、学会的には必要なんだろうけど、
ごくろうさまだなあ。
第一患者としては利益にならないのでは? なんて思います。

本当に苦しんでいる子に
なぜ苦しいのかきいてもわかりません。
過敏な子は自分が過敏だと知らないし
気配を読むしかありません。
そして言葉では治らないレベルの人っています。
それは知的に高い低いとかと関係ありません。
知的に障害がなくて、二次障害が重くて
でもいくらカウンセリングやっても治らない人、いっぱいいるでしょ?

今日埼玉で愛甲さんに質問する会がありますね。
送られてきた質問は、深刻なものばかり。
窓口の死んだふり支援と
「なんとか言葉で治そう」(自己肯定感を褒めて高めるとか)という支援者の無駄なアドバイスに時間を無駄にしている人がいっぱいです。
愛甲さんが軌道修正して下さるでしょう。

私はテレビ桟敷です。へへ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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4 コメント

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気配を読むが好き。。。 (まさ)
2013-11-23 12:13:29
またおじゃまいたします。

思うんですが、私も言葉でのコミュニケーションというよりは、気配を察し、その気配をなにかいい方向へ持っていこうとするみたいな専門家の本を読むのがすごく好きです。それを読むことにより、自分も癒されるので。

『脳みそラクラクセラピー』も読ませていただきました! 愛甲さんの、患者さんに合わせていろいろな方法を編み出していくという手法にも感銘受けました。おそらくマニュアル偏重主義とかエビデンス偏重主義の専門家も多いと思うのですが、愛甲さんのような方が実際に効果をあげていらっしゃるというのを知ると、うれしくなってしまいます。実際、マニュアル偏重主義の専門家の患者は苦しいと思います。発達障害だけでなく、おそらくあらゆる分野でも……。

神田橋先生の『精神科講義』や『医学部講義』も読ませていただいてるのですが、女性の治療者は女性らしい感性を生かすこともできるのに、「生真面目に教えようとする男性の治療者」だったか、そういう男性の師匠についた女性のお弟子さんは、宝塚の男役みたいになっていてかわいそうとか、皮肉をおっしゃっていて、吹き出してしまいました。神田橋先生は、毒舌のセンスもすばらしい方でいらっしゃるのですね……。
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見た目でも違う (マスオさん)
2013-11-24 06:19:27
おはようございます!

後づけの知恵ですが、昨日の稀勢の里vs白鵬は立ち合い二人のにらみ合いをしてる時にすでに、きせが勝つと思いました。いや。にらみ合いというより、挑発してるのは横綱の方で、稀勢の里はまさに木鶏でした。
普段は白い肌の横綱が赤い横綱になってる時は、木鶏でいられない時なので稀勢の里が勝つことが多いのです。
逆に白鵬が赤くなる相手って、稀勢の里だけなんですよね。あ、それから時々もうひとりの横綱にも赤くなりますが。

これは気配というか、明らかに見た目で違うことなんですが、わかる親御さんというのは、見た目レベルでわかってると思うのです。それをわざわざ押し殺すというのはもったいないことをしてると思いました。
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毒舌 (浅見淳子)
2013-11-24 08:48:36
まささん、ようこそ。
本をお読みいただき、ありがとうございます。いい本でしょ? 読んで後悔しないでしょ?
エビデンスガーであれ、本人重視であれ、結局効果を上げているという人は職人として優れています。でもこれは絶望的な状況ではありません。多くの人を助けられなくても、目の前の自分、我が子を助ける職人になれる人は多いからです。どうしても壁がある人も中にはいますけどね。
ところで「宝塚の男役」書いてありましたね~。毒舌というのは言語能力にもれなく本来ついてきますから(抑える人もいるけど)神田橋先生のように言語能力がある方は毒舌力もあります。そもそも「治らないという考えは治りませんか」自体がすでに相当な皮肉ですよね。
またお越し下さいませ。
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仕切りの間に (浅見淳子)
2013-11-24 08:58:32
画伯、ようこそ。
いやあ、まずはどっちもすごいお相撲でしたね。土俵下での横綱はいい顔をしていましたよ。でも仕切りの間にどんどん追い詰められていった感じ。きせ関のメンチの切り方も、かつてのように青臭くありません。大人になった感じです。
もともときせ関には各関取ムキになる傾向がありますが、白鵬関の場合にはこれほどムキになることって珍しいですよね。まだ下にいた時代の稀勢の里に連勝を阻止されたあと、錦糸町の募金のときに二人の間に漂っていたただならぬ空気を思い出した一戦でした。これからも面白い時代が来そうですね。

数字にならない情報量って、本当に多いのに、そこから読み取ることを抑える今の療育は本当にもったいないことをしています。まずは生体としてのその人のあり方を見て整えるのは近道なんですけどね。

あ、昨日の仕切り、貼っておきます。

またお越し下さいませ。

http://m.youtube.com/watch?v=9yCT0RZgiUw&feature=youtu.be&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3D9yCT0RZgiUw%26feature%3Dyoutu.be
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