治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

二つの能力

2012-07-02 09:34:30 | 日記
「こころの科学 7月号」に載っている神田橋先生による「もっと笑顔が見たいから」の書評は
本当に、一ページの中に情報がてんこ盛りですが
私にとって大事にしたい新たな情報の一つがこれ。

え~と、原文に当たっていただきたいので軽々に引用はしませんが
私の言葉で言い直すと、
人間「追い詰められたとき」と「安心しているとき」では発揮する能力が違うというのですね。

自分自身を振り返ってもそうだなあと思って。
だからある程度健康な人は(障害があっても、うつとかそういうのがひどく重くない人は)
ある程度ストレスがかかった状況「も」経験したほうが、発達が進むんじゃないのかなと思いました。

経営者は躁うつ病みたいなもんだなんてよく言われますが(もちろん、本当の双極性の辛さを知らない人が軽い気持ちで口にするだけですよ)
まあ一日の中でも色々起こります。

そしてだんだん「あ、またか」と動じなくなるわけですね。
なんとかなるだろう。
なんとかならなくてもまあ、別になんとかなるし。

みたいな。

そしてそれを裏付けるようなメールが
スペイン優勝の朝、サッカー終わってメールチェックしたときに来てました。
名古屋の光君のママ。
主治医に恵まれているママさんからまたうれしいお知らせです。

一人遊びしかしなくて、消極的で、幼稚園も学校も行きたくなくて泣いてばかりいた自閉っ子の光君。

小学校五年生の今
学級委員に立候補し、選ばれて、お友だちに支えながら役目を果たしているそうです。
全校集会でコントを披露したところ受けて、小さな劇団に入ることにしたそうです。
努力の甲斐あって運動のテストでも「普通」という数値が出て、オリンピックでメダルを取ったように誇らしげな顔をしたそうです。
これからも頑張ろう、という気持ちになるのは不思議ではないですね。

これが、安心できる状況で発揮される新たな能力ってものなのかも、と思いました。
こうなるとね、どんどんどんどん脳が自動的に発達していくというか
そういう方向に向かうアクティビティを、光君は自由に選んでいるんじゃないのかな。

ここまでくると、本人に悲愴な頑張ってる感がないと思いますよ。

そして、努力のリソースが他のところにも回る。
そういういい循環が出来上がっていると思います。

これがニキさんのいう「初期投資」だろうなあ。

定型発達者でもASD者でも
そういう人、いっぱい見てきました。

あああ、ユーロが終わっちゃった。
明日から何を楽しみに生きていけば・・・。

って
今度の日曜日に始まりますよ。名古屋場所だ!