治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

発達障害に対する偏見との闘い方

2012-05-04 07:57:38 | 日記
昨日つらつら仕事しながら考えていたんですけどね。

世の中に、先天的な障害は数あると思うんだけど
これほど繰り返し「親のしつけのせい」と言われるのは
発達障害だけなのかな。
だとしたらそれはなぜなのか。

これが不思議になって、ちょっと考えていました。

そして思い出しました。
今まさに作っているこの本に、そういえば
偏見との折り合いのつけかたの一例が載っていたこと。



第一部
「積極奇異」のお子さんを持つお母さんの言葉です。

このお母さんに取材させていただこうと思ったきっかけ。
それは以前お聞きした次の言葉が印象に残ったからなんです。

「このままでは犯罪者になってしまうと思った時期もあった」

これはね~
親の立場としてなかなか言えないと思いました。
肝が据わっているなあ、と思いました。

それと、今これを言えるのは
もうそういう状態を脱したからですよね。
渦中にいたらなかなか言えるものではないです。
「世の中みんな敵」と思っていた小学生のお子さんは
今は「人が大好き」な高校生になりました。

どうやってそうなったのか
伺ってみようと思ったのですね。

もちろん問題行動でいっぱいのときには
よその人に怒られたり、責められたり
親のしつけにされたり、そういうつらい目にもあっていたようです。

でも今は
そういう気持ちが薄れているようです。

どうして?

こんなことをおっしゃっていました。

「誤解されることも、親が文句を言われることもあるけれど
我が子の成長に比べれば、どうでもいいこと」

もちろん誤解を解いていく、大状況に働きかけていくということも必要ですが

おそらく今回の件も
そういう動きがギョーカイの中でこれからどっと起きるのだと思いますが

我が子が成長している輝かしさの前には
世間の誤解など気にならないという境地にまで至る。

これもまた
一つの偏見との闘いの姿でしょう。

親のせいではないけれど
親の働きかけで「世の中みんな敵」が「人を大好き」にまで変わる。
それも発達障害の、ひとつのかたちです。

もっともここにいたるには
大きな「方針転換」があったのですけれど。

そういう保護者の存在も
花風社としては伝えたいと思います。