治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

赤い糸

2011-01-03 05:02:20 | 日記
大地君が「自閉っ子と未来への希望」の一部を読んで
「大地と浅見さんは赤い糸で結ばれていたんだね」と言った。

うん、そうだね。

でもそれは大地君だけじゃなくて
一緒に本を作ることになった仲間は、本当にみんな偶然出会って、その出会いが宝物になった。

本を作る仲間だけじゃない。
出会いっていうのは基本的に授かりもの。

私は割合と、出会いに関しては受身です。
必要なときに必要な縁が出てくる、っていう実感がこれまで生きてきた中で培われてきたから。

そして、ある程度はっきりした主張のある本を出すと
それを読んでまた企画を持ち込んでくださる方が出てくる。
これもまた、ありがたい。

お会いして、一緒に仕事ができそうかどうか確かめる。
新年早々また、そういう機会があります。

私は出会い運がわりといいので
自分に人を見る目がなくてもあまり間違えない。

でも去年、「ああ、こういう人間とは仕事するのやめよう」と思った出来事がありました。

名大病院の吉川徹という医者に、ネット上で、花風社に儲かってもらうと困ると言われた。

びっくりしましたよ。

この医者とうち、なんか金銭貸借関係かなんかあったっけ?
うちが儲かるとどうしてこの人が困るの?

誰だって人の好き嫌いはある。
私もかなりある。
でも別に嫌いなヤツの不幸までは望まない。

けれどもこの一言を言われてびっくりして悟ったのは
「世の中には嫌いな人間の不幸を願う人種がいる」っていうことだな。

そして気がついた。
私の周囲にはいないなあ。とくに一緒に仕事をしてきた仲間には。

みんなそこそこの強さ、激しさを持っている人たちだし
当然人の好き嫌いはある(だろう)けど
自分の信念を通すことに興味はあっても
意見の違う他人の不幸までは望んでいない人たちだなあ、と。

どうして?

それこそリソースの無駄遣いでしょう。
大事なエネルギーは、もっと建設的なことに使ったほうがいい。

こうままさんのブログとか見ている限り
このお医者さんも地元で重宝されているようだし
いい先生だと慕う人もきっと多いのでしょう。

ネット上で見ても大活躍のようだし(なにしろちょっとぐぐると実名が出てくるくらい)
この先生の本出すと売れるかもよ。
よその版元さん、アプローチしてみれば?

うちはやりません。

私は今後、自分の仕事相手として専門家を選ぶときには
「嫌いな他人の不幸を望む方向にエネルギーを使わない専門職」
を一つの目安にしようと思います。

幸い、これまでお付き合いのある方はみんなそうだった。

そのへんが私の強運なところです。

写真は書初め第一号。
色紙を前にしてまず浮かんだ言葉。
「白稀時代」です(笑)。