地方での新型コロナウイルス感染者が、3月中旬以降、急激に増えている。宮城、山形、愛媛県などは独自に緊急事態を宣言したが、医療体制の逼迫ひっぱくは進む。愛媛県の中村時広知事が「『第4波』に入った」と語るなど、各地で警戒感が高まっている。

 厚生労働省によると、人口10万人当たりの直近1週間(19〜25日)の新規感染者数は、宮城県が36・08人に上り、東京都(16・08人)や大阪府(13・63人)を大きく上回っている。

 宮城県では、療養者数や感染者数など複数の指標で最も状況が深刻な「ステージ4」に達しており、3月23日時点での病床使用率は33・9%と、前週より16ポイント以上悪化している。

 同県では、2月23日に政府の飲食店支援事業「Go To イート」を約2か月ぶりに再開したが、3月に入ると感染が急拡大し、16日に再び停止に。18日には県と仙台市が独自の緊急事態宣言を発令し、25日からは仙台市内の飲食店など約1万店に営業時間の短縮を要請している。

 日本医師会の中川俊男会長は宮城県の状況について「2月8日の仙台市の時短要請解除と、『Go To イート』再開が要因と思われる」「ちょっとした緩みでこれだけの感染者が出るという教訓にしなければならない」と指摘した。

 隣接する山形県でも、10万人当たりの1週間感染者数が16・6人に達しており、県や山形市などで時短要請を開始。吉村美栄子知事は「3世帯同居が多く、若い人から高齢者への波及を食い止めなくてはならない」と訴えた。

 愛媛県では2月下旬以降、新規感染者は1日0〜4人で推移していたが、3月23日に23人に急増し、25日には過去最多の59人となった。松山市で複数の飲食店にまたがる「繁華街クラスター(感染集団)」が発生したためで、関連の感染者は160人に上る。

 うち20人以上から変異ウイルスが検出されており、中村知事は28日、「収束できるかどうか、この1〜2週間が勝負」と危機感をあらわにした。

 沖縄県も、10万人当たりの1週間感染者が25・6人に上る。県によると、那覇市を中心に飲食店絡みの感染が増えており、若い世代での流行が急拡大の要因とみられるという。