14Jun
2016
「9条を守ることが1条を守る」と喝破した柄谷行人の慧眼
9条の存在意義を認め、9条を守れと提言する一人に、柄谷行人(からたにこうじん)という哲学者がいる。
その柄谷氏が、きょう6月14日の朝日新聞オピニオン面で、なぜ日本に憲法9条ができたのか、そしてそれが今日まで変えられなかったのか、誰もがそのことを今一度きちんと考えてみるべきだ、と語っている。
そのインタビュー記事の中で私が注目したのは次の言葉だ。
きわめて重要と思われるので、少し長くなるがそのまま引用したい。
「憲法の制定過程を見ると、次の事がわかります。マッカーサーは次期大統領に立候補する気でいたので、何をおいても日本統治を成功させたかった。そのために天皇制を存続させることが必要だったのです。ただ、当時、ソ連や連合諸国だけでなく米国の世論でも、天皇の戦争責任を問う意見が強かった。その中であえて天皇制を存続させようとすれば、戦争放棄の条項が国際世論を説得する切り札として必要だったのです。だから、最初に重要なのは憲法1条で、9条は副次的なものに過ぎなかった。今はその地位が逆転しています。9条のほうが重要になった。しかし、1条と9条のつながりは消えていません。たとえば、1条で規定されている天皇と皇后が9条を支援している。それは、9条を守ることが1条を守ることになるからです」
まさしくその通りである。
もし日本国民がこの事を正しく認識するなら、政治が憲法9条を変えようとしても、国民投票によって必ず否定されることになる。
きょうの朝日新聞の柄谷氏のインタビュー記事は、参院選を前にしたいま、国民必読の記事である(了)
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