命の選択「心が折れそう」 コロナ患者急増の兵庫 医療現場から悲鳴
4/25(日) 10:45毎日新聞
神戸市中心部=反橋希美撮影。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い兵庫県内に25日から緊急事態宣言が発令された。23日にあった医療関係者らの対策協議会後、座長の荒川創一・神戸大大学院客員教授が報道陣の取材に、まん延防止等重点措置は「結果的に甘かった」と指摘。宣言で県民に新たな行動変容が起きることを期待した。【井上元宏、山本真也】
【写真】マスクをして繁華街を見回る警察官
県内では5日から、神戸、尼崎、西宮、芦屋の4市でまん延防止措置が始まった。午後10時の三宮周辺の人出は2020年12月平均の5~6割減で、一定の効果がうかがえた。だが、新規感染者数は増え続け、23日には567人に達した。荒川座長は「(既存株から変異株に感染が置き換わり)コロナウイルスの性質が変わったことが原因では」とした。
20年10月~21年2月の第3波後に感染抑制が長続きしなかったことについて、「(2月末の)緊急事態宣言の解除時、伝え方に問題があったのではないか」と指摘。「行動変容や感染対策の基本順守、緊急事態宣言の組み合わせが解決につながる」と述べた。
◇自宅待機者の死亡相次ぎ、往診開始
一方、神戸市では、自宅待機中の感染者を医師が往診する取り組みが始まっている。病床の逼迫(ひっぱく)から、入院先を調整中の感染者が自宅で死亡したケースが20、21日に相次いで確認され、市が対策を検討していた。
中央市民病院、西市民病院、西神戸医療センターが連携。医療チームが重篤化する可能性がある中等症以上の感染者を訪問。電話診療も行う。保健所の健康観察で状態を見て診療を要請。医師、看護師、薬剤師のチームを派遣し、薬剤の処方や酸素投与なども行う。必要があれば職員が薬剤も届ける。
23日に記者会見した神戸市民病院機構の橋本信夫理事長は、患者の急増で「誰に入院してもらうかの命の選択を迫られ、看護師からは『心が折れそう』との悲鳴が出ている」と説明。「往診で重症化を防ぎ、救える命を一人でも多く救いたい」と話した。
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