思わずうなった韓国憲法裁判所の絶妙な慰安婦訴訟判決
2019-12-28
12月27日に下される韓国憲法裁判所の慰安婦合意に関する判決から目が離せない。
私は何度もその事を強調して来た。
実際のところ、果たして韓国憲法裁判所はどんな判決を下すのか、私は興味深々だった。
なにしろ、違憲判決を下せば、日韓関係は決定的に悪くなる。
だからと言って、文在寅大統領と一体の韓国の裁判所が、朴槿恵大統領が米国に圧力で飲ませられた2015年末の慰安婦合意に、合憲の判決を下すはずがない。
どんな判決が下されるのか、予想できなかったからだ。
そしてきのうの午後、テレビでその判決の第一報を知って、思わずうなってしまった。
真っ先に飛び込んできたのは、却下、つまり門前払いという言葉だった。
その瞬間、やはり判断を避けたのかと思った。
ところが、その後に続くニュースを聞いて思わずうなってしまった。
この門前払いは、在日米軍は憲法9条違反かどうかの判断を避けた、いわゆる砂川裁判に見せた田中耕太郎裁判官の「統治行為論」とは全く違う。
つまり、「高度の政治的判断を要する訴訟は司法の判断になじまない」といって逃げたあれだ。
今度の韓国の憲法裁判所の判決は、そもそも2015年末の慰安婦問題に関する日韓合意は、紙に書かれたものではなく、合意ですらない。だから元慰安婦らの人権侵害はない、訴えるに値しない、
そう言って門前払いしたのだ。
これ以上ない、慰安婦合意の全面否定である。
その憲法裁判所の判決を見届けるやいなや、文在寅政権は、まるで示し合わせたように、「裁判所(司法)の判決を尊重する」と声明を出した。
そして、「慰安婦被害者の名誉、尊厳回復のためできる限りの努力を続けていく」と付け加える事を忘れなかった。
見事なシナリオだ。
果たして、あす(きょう)の各紙はどう報道するのか。
そう思って今朝一番にそれに関する記事を読み比べて見た。
私のように、見事な韓国の連携プレーだ、などと書く新聞はどこもない。
しかし、すべての新聞が認めている。
これで、日韓関係は更に難しくなったと。
笑ってしまったのが政府・外務省の反応だ。
まるで壊れた蓄音機のように繰り返している。
引き続き韓国側に日韓合意の着実な実施をしっかり求めたいと。
すでに慰安婦基金が解散しているというのに、着実な実施など、どうして韓国に求めることができるというのか。
それよりもなによりも、一片の紙切れもない口頭了解は政府間の合意ではない、と憲法裁判所に断じられた合意を、それを合意して政権がなくなっているのに、新たな政権にどう実施を求めて行けるというのか。
2015年末の慰安婦問題に関する日韓合意は、今度の判決で、実に巧みに、事実上否定されてしまったということだ。
私がうなった理由はそこにある(了)
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