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息苦しい世の中で 自由に語り合える空間を

自由でも民主でもない この日本を もっともっとよりよく変えていくことができるように たくさんの知恵を語りましょう。

「つぎ とまります」 複雑な感想

2019年05月12日 18時32分07秒 | 素人の劇評
 「つぎ とまります」 セツコの豪遊 代々木上原 Ito・M・Studio
 代々木上原が、こんなにも坂道が多い街とは知らず、這々の体で会場にたどりつきました。
下りた駅も、劇場も、劇団もお初。それなりに楽しませていただきました。
さて、劇の方です。
今回は、すでに出来ていた台本を再上演ということでしたが、やや複雑な思いの感想となりそうです。
「メッセージ性が露骨に出ている劇」が、白けてしまうことは自明なことですが、反対に、何も訴えるものが感じられないもの、またはあまりに「高度」過ぎて、評することがえらく困難である劇(不条理も含めて)は、私はとても苦手です。この劇は、前者に類するものでしょうか。展開が流れるように進められるにしたがい(つまり役者さんは2人とも、なかなかの演技力なのですが)、どうも劇中に心が入っていけないのです。
言葉遊びのような掛け合いから、「流しそうめん」に関する比喩から、メッセージが吹き出しているだと言われれば、私の力量の問題なのですが、となりの男性が、途中で居眠りをしていたことを考えると、受け手だけの問題ではなさそうです。
設定の面白さとは裏腹に、私には「観てよかった」といった感慨が持てなかったこと。少し残念な思いでした。
ただ、劇団の目指すものがあることに対して尊重はしていきたい私でもあります。それについて、興味が湧いてきました。
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清涼感ある劇団 「what's your destination?」 

2018年10月06日 22時03分45秒 | 素人の劇評
10/6(土) 14:00
「what's your destination?」 遊々団★ヴェール 第5回公演
下落合 TACCS1179(俳協ホール)

清涼感のある劇、また劇団です。ラストは「できすぎ」の感がありますが、そこに至る展開が、それをチャラにしています。したがって、お隣の女性が、ラストで涙していたように、感動的なものとして終わることができたと思いました。下ネタなしの一貫性も好感が持てました。
台本のストーリーが、やや荒いことが気になりますが、個性豊かな俳優陣が、埋め合わせしてもくれました。
清々しく、そして「生と死」とを真摯に表現しようとする意欲。買っています。
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あおきりみかん ひたすら楽しい劇

2018年06月10日 23時41分55秒 | 素人の劇評
劇団「あおきりみかん」
「鏡の星」シアターグリーン
6/10(日) 15:00 千秋楽

コリッチに投稿した「観てきた」をそのまま引用。

最終公演を観せていただきました。とにかく奇想天外で楽しい劇でした。まっ、あり得ないものなのですが、けっこうリアリティがあり、社会風刺も、また人情劇の要素も絡めながら、あっという間の2時間でした。
個人的には(笑)、川本さんばかり見とれていましたので、もしかすると全体のこと、 些細な工夫など見落としていたかもしれません。申し訳ない。また、帰ってからパンフを見ていたら、その彼女が「作」だということを知りました。うれしいやら、私の眼力の強さに惚れ惚れした一日となりました。
ついでに、劇自体、登場人物のそれぞれに個性とドラマを装備させた点で、川本さんの劇作に対する姿勢に共感を覚えました。そして、その期待に応えるような役者陣の好演も快かったと思えました。
愛知から、わざわざ出向いての公演。私の周りの席では、女子大生とおぼしき二人組が、「面白かったねえ」と、心からの讃辞を交換していました。
すっきりとしていて、工夫された舞台装置もなかなかよく考えられたものだと思えました。
ありがとうございました。北九州でもご成功を!

このあと、川本さんが劇作者ではなかったことがわかって陳謝。
鹿目さんという方のものだと知りました。
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「マルクス・エンゲルス」 生身の人間として・・・

2018年05月05日 22時25分08秒 | 素人の劇評
ほぼ満席の岩波ホール。
若い人もちらほら見かける。
映画は、予想以上のもの。
マルクスの貧困、エンゲルスの裕福さゆえの苦悩、2人の恋愛を織り交ぜながら、
論敵と闘う姿が映し出される。

満席とは言え、まだこの映画を見に行こうとする人は少ないことだろう。
口コミで、幅広く広がっていくことを祈る。
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毒のない笑劇 まあ楽しめました

2018年04月15日 20時11分06秒 | 素人の劇評
 4月1日に行ったものです。
「丹青の三方一両損」深川とっくり座
 深川江戸資料館 小劇場

 落語をモチーフとした笑劇。
 全体が吉本新喜劇と似ているが、こちらの方が毒がなく、「健全」な笑いを提供している劇団かと。
 素直な展開だけに、素直に楽しめた。

 帰りに清澄公園で桜見物。
 
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何を感じたのか分からなかった 観劇で

2018年03月25日 08時43分47秒 | 素人の劇評
「にんげんになったらしい」ドライブイン札比内
阿佐ヶ谷 ひつじ座

「最初の会を観劇しました。
ひさしぶりの事ですが、私の感性、経験、知識では、この演劇をコメントできる場に立てませんでした。
たわいもないショート・ショート程度に見ていいものか、またまた、もっともっと深いテーマが隠されているのか、「どう感じるかはご自由に」の世界なのか、見ている最中も、見終わったあとも、よく分からなかったというのが正直なところです。
すみません。」

 こんなコメントを書いてしまいました。
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冒険してほしい 「想咲の結」

2018年02月25日 00時04分41秒 | 素人の劇評
「そらのむすび」と読ませる。
HIERO MANAGEMENT
中目黒 ウッディシアター

「お調子者でだらしなく家族からみっともないと言われている父亮二。
ひょんな事から娘と1対1で向き合う事に。
語られるのは今まで知らなかった娘の気持ちや家族との思い出。
そこには秘められた事実があった。少しずつ深まっていく家族の絆。
「私は何をしているの?」
「ねえ、お父さん。なぜあなたがここにいるの?」
平凡な家庭の日常で人生と向き合いながら導き出されていく未来とは‥•
「親ってのはそんなもんさ」
ちっぽけで情けない父親が下す決断とは‥•。」
とパンフレットにある。

なにか微妙な評価になりそうです。
親の期待と子ども達の反発。
長女としての「義務感」。そしてそれを理解されないもどかしさ。
「ダサイ」父親の愛。
そんなよくある家族の物語です。
それぞれの登場人物の葛藤・・・それはそれでいいのですが、観ているうちに、
「男はつらいよ」を思い出していました。
家族愛・・・それ自体はなんの反駁もありませんが、それをある意味、「これでもか」
というくらい劇中で繰り返されると、ちょっとうんざりします。
「はいはい、分かりました」「家族って大変だよね」
とでも言いたくなります。「ちょっと押しつけがましくない?」
そんなことをつぶやきたくなるのです。
そして、それは「寅さん」映画にも通じるものです。

ですから、素朴に「よかった」「感動した」「涙が止まらなかった」という感想から、
「ちょっとくどくない?」「愛の押し売りのようだ」といった感想まで、評価は2つに分かれる
のではないでしょうか。

私は作者にもっと冒険してほしかったと思います。
この劇の中の「愛」は、昔から「言い古された」ものです。何度も何度も見てきた構図そのものです。
「それはそうだ。でももっと別の切り口はなんものか」 そう思うと、なんともつまらぬ劇となってしまいます。
それをもっと掘り下げた作品としてほしかったと思います。

もう1つ。
家族の絆が得られる契機について。
それが「血の繋がりがないことの暴露」「癌の遭遇」など、ある意味「特殊」なことに設定することの是非です。
私は、上の2つを抜きにした「家族愛の深まり」を描いてほしかったと思います。
なにか特別なことがなければ、家族愛は育たないのでしょうか。
上の2つがなくても、愛は育つのだという「冒険」してほしかったと思います。

けっこう辛口となってしまいました。
しかし、この劇団の「誠実さ」については好感が持てますし、嫌いではありません。
役者さんの真摯な表現も然り。

それだけに「冒険」「斬新な切り口」がほしいのです。


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間 「いずこをはかと」

2018年02月12日 19時43分09秒 | 素人の劇評
 PocketSheepS「いずこをはかと」
2/10 14:00 下落合 TACCS1179

 階層の差はありながらも、どちらも「閉じ込められ」、閉塞し、鬱積した悶々たる気分をもつ2人が惹き合い、共に生きようと決意する。
 劇中は、テンポ良く展開し、その中での「笑い」と、逼迫した2人の行く末が両輪となって進む。
 すまないと思うが、前半は、上演予定時間が早く過ぎないかと祈るばかりだった。それは、筋書きが・・・ということではなく、俳優さん
の台詞がも、あまりにも早く、それでいて語尾がはっきり聞こえない滑舌の悪さ。そしてそれ以上「退屈」にさせたのが、「間」のない、
単調な台詞のかけあいだ。
 だから、個性的な俳優のみなさんが、みな同じ顔に見えてきてしまう。
 前半は、そんなことを考えながら、何度も腕時計を見てしまった。

 それでも後半は持ち直してきた。ストーリーがめまぐるしく展開されはじめてきたことが要因ではあるが、この主人公の2人がどうなるのか、気になってきた。
 しかし、2時間10分はきつかった。

 2つ注文。
 ①やはり、早口で饒舌のオンパレードは飽きてしまう。「間」が必要な劇団だと思った。
 ②笑いをもっと発掘してほしい。①とも関連するが、大きな声、が笑いをとる1番の手腕では、飽きられるのも早いと思った。

 注文ばかりで申し訳ないが、個々の俳優の演技力は、かなり高いと思う。
 さらに輝くためには、上の①②が必要だろう。

 
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「スピーク イージー」優しさと危うさ

2017年12月24日 16時51分30秒 | 素人の劇評
12月24日 14時の部 荻窪シアター

禁酒条例が出た都内の居酒屋。
酒無しの忘年会で、酔うに酔えない苛立ちと、はたまた冷静な議論とが交錯する。
施行前と後とに場面は繰り返し交代しながら、そこに集まった社員たちの人間模様が、徐々に明らかになっていく。

役者の演技も悪くない。個性的である。
そこそこ、笑いの場面で私もクスクスと、周りにつられてしまう。

戯曲を書いた人は、きっと優しい人なんだと思う。
登場人物は、それぞれがそこそこの痛みを持ち合わせ、そしてそれと同時に優しい心を周りにふりまこうとしている。
だれもが、「未完」ながらも「善良」であろうとしている・・・と、思う。

 だから、見終わったときの気持ちは温かい。
 
 しかし、しかし、やはり何か物足りないのである。
 
 そのひとつに「社会性」を表現する姿勢がある。

 社会運動に参加している社員がいる。
 その動機が私には不満である。
 行動自体がどうもファッションとしてしか描かれていないのだから。

 やさしさが、同心円のように広がっていく。その波形のありようが社会的な行動と言えはしまいか。
 劇団の描くものは、個人の趣味である。
 「今は、そんなものなのよ」と言われたら返す言葉もないが。

 BGMは、全て私の生きてきた「年表」に位置が確認できるほど、懐かしいものだった。
 これは嬉しい。

 可能性。そんな言葉が頭をよぎる。
 また、温かな、そしてできれば、「鋭い」劇を、と期待。
 
  
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「袴垂れはどこだ」 私の年間一位にしたい

2017年12月17日 18時22分58秒 | 素人の劇評
まだ日が残っているから現時点なのだが。
今年に観た演劇では群を抜いて心に残った。
12月17日、14時の部。千秋楽。
劇団俳小。両国、シアターX(カイ)。

この戯曲が、1964年に作られたというのを知り、納得した。
安保闘争が山を越え(うまい言葉が見つからない。決して無くなったわけではない)、世の中は東京オリンピック一色になっていた時期。
しだいに経済成長の「恩恵」が、国民を覆っていく時代だ。闘争になにかしら主体的に関わったものとしては、安保も、戦後処理も、日韓の問題も、なにも解決していないままで歴史が楽天的に進んでいることに我慢ならなかったはずだ。
そんな空気がひしひしと感じられる戯曲だけに、これを半世紀たった私たちが、どう表現し、どう受けとめるか、興味深くして赴いた。
俳小の役者の力量が十分に分かっている。
あとは演出家の技量だろう。
結論は、期待を裏切る? いや、期待通りの演劇であった。
戦術と戦略の、理想と手段の葛藤。
私はこんなことばかり考えながら観ていた。
蜷川演出に影響され、「金に糸目をつけない」舞台装置(これは私の偏見かもしれない)かと思っていたが、予算の関係もあるのか、これは杞憂(笑)
手堅い演出、そんな印象だった。

なによりも私が感銘を受けたのは、戯曲の選択。
劇団の時代の読みの鋭さだ。

あらためて、私たちの日常で、理不尽な現実を前にした闘いで、感性の部分で触発されたことが嬉しく思えた。
1964年と2017年。
問題がいくつも置き去りされたままだ。
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「煙が目にしみる」 パンドラの匣 <質朴>

2017年11月16日 23時02分18秒 | 素人の劇評
 19:00-
 TACCS1179(俳協ホール)

 <桜咲く季節、とある田舎の火葬場にて。
煙草をふかす幽霊がふたり…
野々村浩介と北見栄治。
なぜかおばあちゃんにだけはその姿が見えるのだが…?

言えなくなってしまって初めて気付く、
大事な人への一言。
もしもあの世と通じることができたなら、
どんな言葉をかけられるでしょう。>
というパンフレットの宣伝文句。

「観てきた」に書いた私の感想。

「「質朴」という言葉が似合う演劇を、久しぶりに観た。同時に、残る短い人生を、何かと、または誰かと深く繫がれないものかと喘いでいる私にとっては、ひどく胸に突き刺さるような内容のものでもあった。
 劇の内容自体は、よくある人物像の「良き姿」回顧のものだが、それが演技として、人物同士が絡み合うと、不思議と笑えて、そして泣かせるものとなる。敢えて「質朴」を追求した演出家のなせる業だろう。
 役者さんの滑舌の悪さが、やや気にはなったが、それをもってしても、温かな気持ちで帰宅できる劇をいただいた。」

 観てきて良かったという劇。
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表現を楽しんでいるとはまさにこれ Gasolina

2017年10月14日 18時10分04秒 | 素人の劇評
Gasolina「SORT CUTS 5」新宿シアターミラクル
ABチームのAを観る

短編7作をABそれぞれで公演
はじめから6作までは二人の芝居
最後が一人芝居

圧倒的に言葉が舞台に溢れた劇だ
感心し、感銘を受けたのは、役者がその氾濫する台詞を、しっかりと消化し、演じていることだ
例外なく7つの舞台に、レベルの高い台詞と演技が繰り広げられていた
圧巻は最後の「光の国」の植野祐美さんの一人芝居
声の質も練習の賜物だろう
歯切れの良さ、流れるような言い回し、表情、抑揚の妙など、15分くらいだろうか、引き込まれるように魅せられた
団員は少ない小さな劇団だろうが、また観に行くことになるだろう

日曜日までの公演
お薦めです
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「夜を忘れなさい」 

2017年06月04日 23時40分29秒 | 素人の劇評
コリッチに投稿したものを転載。
「夜を忘れなさい」feblaboプロデュース
6月4日 13:00 新宿シアター・ミラクル(東京都)

「みなさん厳しいコメントが並んでいますが、私なりに楽しみました。役者さんも、それぞれの役柄を演じていたと思えるし、脚本も言葉に拘った部分が随所に感じられていて、ベッドという舞台装置をうまく活用したステージにも、劇団、演出の意気込みを感じ取ることができました。
「理解しづらい」という点では、他の方と共通した感想を持ちますが、「理解できない」というより、圧倒的に「情報不足」だからだと思いました。まず、55分の短さ。終盤になって、大きな展開を見せるのですが、かなり「唐突」の印象がありました。起承転結の「転」の前置きをもっとていねいに扱って欲しかった。
それとの関連で、登場人物の情報をもう少し盛り込まないと、見ている側が材料の少なさから、不安になってしまう。解釈の一人歩きも悪くはないのだが、あまりの情報のすくなさから、見ている個々が自信を失ってしまっていた。
別にせりふを増やすだけでなく、なんとか工夫して、登場した女性について、さらに肉付けしてほしいと思った。
「あっ、もうおしまい?」
けっこう面白かったのになあ。」
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「疚しい理由」 feblaboプロデュース

2017年05月16日 00時38分53秒 | 素人の劇評
3人の役者による会話中心の劇。
楽しく、また「どう落とすのか」ハラハラしながら観ていた。50分の劇があっという間に終わってしまった。結局、真相は「教えないぞ」というままだったので、なんとなく前菜を食べただけのような食感で劇場を後にした。面白かったが、このあとも展開させてほしかったな。いやいやショートショートを読む感覚で、それはそれでいいんじゃないの。と葛藤しながら、西武新宿駅に向かった。軽食。
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「新入社員のイジメ方~夢と希望とカレーライス」

2017年04月08日 21時48分36秒 | 素人の劇評
4/8(土)13:30 劇団カンタービレ
ウッディシアター中目黒

 初めての中目黒。なにかイベントがあるらしく、駅前は大量の若者であふれかえっている。
 へー、結構都会の中目黒。劇場に向かうまでの商店街は、なかなかのおしゃれな店が続いている。
 帽子、輸入雑貨、ブティック、しゃれた居酒屋・・・ただ残念なことに古本屋は見あたらない。

 さて、歯医者の脇にある階段を下りて、思ったより広い受付のスペース、思ったより狭いホールのウッディシアター。
 1番前の左側。私の好きな座席のエリアに落ち着く。

 中堅企業の新人研修。山奥の寺での修行の風景だ。
 予想していた通り、非人間的な殺人的研修と、その癒しとなる、もう一つの世界。
 この2つが絡み合って劇は展開していく。
 俳優さんの演技は、テンポも歯切れもよく、うまく私たちを笑いに誘ってくれる。
 1人1人の役者さんのレベルは高い。
 研修の過酷さよりも、展開と演技とでの「面白さ」が印象的な1時間45分だった。
 私も、その都度、くすくすと笑いながら最後まで飽きずに観ることができた。

 しかし、しかしだ。
 一言で感想をまとめると、「何も残らなかった」のだ。
 「企業研修」と聞いて、その残忍さが登場することは予想できた。さてその後で、どう「落とし前」をつけるのか、興味津々であったが、私の予想は完全に裏切られた。それはそれで「意外性」としてかまわないが、それが残念なことに「失望させる」ものだったのだ。
 一応、社会的なテーマを選んだ以上、それを劇団としてどう考え、どう観てほしいかというものがあるだろう。
 それが感じられなかったのだ。
 「研修」を素材にした、「人情」と「笑い」の劇だったのだ。
 と考えるしかないだろう。

 ネタバレに限りなく近くなったが、後始末を「個人」にしてしまった。
 観た方以外分かりづらい表現になるが、「あの人も企業による被害者」なのではないか。
 そこに収斂してしまったために、研修という「社会的事象」の善し悪しが、個人のレベルのものとなってしまった。
 
 劇の見方はそれぞれでいいが、私には「終わらせ方」が大いに不満だった。
 

 
 

 
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