正さん日記

世の中思いにつれて

表現の自由は大丈夫か、あいちトリエンナーレ2019の圧力による中止

2019-08-06 15:07:00 | 政治

 2010年から3年に一度開かれている国内有数規模の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」は、8月1日から名古屋市内の愛知芸術文化センターで開催されたが、プログラムの一部である「表現の不自由展・その後」で、横やりが入り、この企画は8月3日に中止することになった。

 昭和天皇の御真影を燃やすような映像、慰安婦像(少女像)、安倍政権への警鐘を掲げるかまくら等、過去に公立美術館などで展示不許可になったとされる作品を収集して展示していたが8月2日にはネットで批判が殺到した。

 中には電話で県職員を恫喝、脅迫する者、職員の名前を聞き出してネットで誹謗中傷する者や「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」と京都アニメーション放火事件を匂わせるFAXを送付する者もいたという。

 加えて、会場である愛知県芸術文化センターの立地自治体である名古屋市の河村たかし市長が「日本国民の心を踏みにじる行為」と展示を批判し、実行委員会会長である大村秀章愛知県知事に対し、適切な対応を求める抗議文を提出した。

 その結果、主催者である愛知県は、8月3日を最後に展示の中止を決定した。これに対し、当該企画展の実行委員会のメンバーが「戦後最大の検閲事件となる」として、抗議文を発表した。

 「あいちトリエンナーレ」の主催者として企画展の中止を決定した大村知事は、5日の記者会見で「河村市長の主張は憲法21条違反の疑いが極めて濃厚」と主張して河村市長を批判した。

 一方、菅義偉官房長官も、今回の企画内容は補助金事業としては相応しくないと述べた。自民党内でも批判する声が上がり、圧力が掛かった。 

 今回は、ジャーナリストの津田大介氏を芸術監督に迎え、「情の時代」をテーマに掲げた。作家の選定にあたってその男女比を同等にすることを打ち出すなど芸術祭の枠を超えて話題となる要素も多く、実際前売りチケットの売り上げも開始2カ月前の時点で前回より2倍多かったという。

 本来なら10月14日まで開催する予定だった「表現の不自由展・その後」が、SNSなどでの中傷、脅迫と、行政の長、政府、一部自民党議員らの圧力によって中止を余儀なくされ、今後、同種の企画立案に暗い影を落とした。

 国境なき記者団が年1回発表している世界報道自由度ランキングで、日本は連続67位とG7では最低、隣国韓国の41位より低位にランクされている。

 「報道自由度」とは、ちょっと違うかも知れないが、行政、政府が絡んだ「表現の自由」が脅かされることになると、日本の民主主義が国際社会から信頼を失うことになりかねない。

 

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