国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の中で「表現の不自由展・その後」が、行政長、政府筋などの圧力と、直接的にはSNSなどによるヘイトクライムと思しき者の脅迫により、2か月半の開催期間がわずか3日で中止となった。
これにより、日本の憲法21条3章で保障されている表現の自由などが脅かされているのではないのかと危機感が募っている。
表現の自由の一環としての情報の自由については、世界180カ国を毎年ランクづけしている国境なき記者団の2019年ランキングで、日本は、連続67位とG7の中で最低位置にある。
日本が、最も順位が上だったのは、2010年の鳩山由紀夫政権時の10位、その前の麻生太郎政権時は17位だった。
ところが、第2次安倍晋三政権の2013年に53位に下落、その後毎年順位を落とし遂に2018年に67位に凋落した。
国境なき記者団は、情報の自由、報道の自由を目的に、1985年にフランス・パリで設立された非政府組織だ。
戦争地域などで活動するジャーナリストの金銭的・物的支援や、拘束されたジャーナリストの救出、メディア攻撃に対する非難声明、情報の自由に対する攻撃の監視などの活動をしている。
その国境なき記者団は世界各地の約130名の記者と協力して、欧州、アジア、中東、北アフリカ、およびアメリカの地域で、報道の自由に違反している情報を調査・収集し、「報道の自由度指数」に関する報告書を作成している。
「報道の自由度」ランキングの上位は北欧諸国が占め、下位はシリアや北朝鮮など独裁国家が大半だ。日本は2010年から年々下降。5段階評価では「問題あり」との烙印を押されてしまった。
なぜ日本の順位はこれほどまでに低いのか、 アジアの中でも韓国に抜かれ3位に後退している。
国境なき記者団は、「日本のメディアの自由は、安倍晋三氏が2012年に首相に再就任して以降、衰えてきている」と指摘している。
一方、日本の記者クラブについては、フリージャーナリストや外国人記者を選り好みしており、自己検閲を増大させていると批判した。
また、日本政府はメディアに対する敵意を隠さず、ジャーナリストに対してハラスメントをしていると非難している。
さらに、SNS上のナショナリスト達は、政府に批判的な記者や、慰安婦問題や南京問題などの論争に取り組むジャーナリストに対して脅迫・いやがらせをしていると問題視した。
さらに特定秘密保護法も批判の対象となっており、違法に取得された情報を公表したとして有罪判決を受けた場合、内部告発者に10年の懲役を科す法律を「国連の抗議を無視して成立させた」と非難している。
またなぜ世界でも報道の自由度が下がっていて、その原因はアメリカのトランプ大統領にあると指摘している。
今回の「あいちトリエンナーレ2019」中止に至った要因についても、日本の報道の自由度低落と決して無関係ではない。「関連:8月6日」
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