正さん日記

世の中思いにつれて

スー・チー氏、また自宅軟禁、ミャンマーでクーデター、軍が政権奪取

2021-02-02 14:34:45 | 世界

 昨日、ミャンマーで軍によるクーデターが発生、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相をはじめ国民民主連盟(NLD)の関係者ら数百人が拘束された。首都ネピドーにいたNLD議員は全員拘束された。

 国軍は1日夜、閣僚11人を新たに任命したと発表。スー・チー氏が兼任していた外相も含まれ、新体制の構築を急いでいる。

 クーデターの目的は、昨年11月に行われた国会議員の選挙で、スー・チー氏率いるNLDが圧勝、2月1日に開催を予定していた議会で、無条件で軍に与えている四分の一の議席を削ぐことなどを目的にした憲法改正を阻止するためだったようだ。

 この選挙でNLDは、上院224議席中135議席、下院440議席中255議席を獲得し、この圧倒的な勝利によって単独政権を発足できるようになったことも軍の危機を招いたようだ。

 軍は、総選挙で違反があったと指摘、総選挙のやり直しを行う予定だが、軍が今回の行動を正当化するためのような選挙のやり直しについて、実施できるのか否かは定かではない。

 国際社会では、国連はもとより、アメリカのバイデン大統領もミャンマー軍の行動を批判、スー・チー氏らの即時解放を求めるとともに、場合によっては制裁処置の再開を行う可能性を示している。

 ただ、1988年に行った経済制裁の時と異なり、ミャンマーとの経済関係が深くなっている中国の存在が、アメリカなどの経済制裁の効果を弱める形になっている。

 しかし、アメリカなどがこのまま手をこまねく分けにはいかないので、ミャンマーは再び制裁処置がなされ、発展途上にある民主化、経済の発展が途切れることが危惧される。

 また、もし、中国が制裁を行わず、逆にミャンマー国軍を支持するようなことがあれば、アメリカのトランプ政権時から続く、米中関係がさらに悪化する可能性も否定できない。

 日本は、以前からミャンマーに対し独自の関係を築いてきたが、現在は、かなりの日本企業がミャンマーに進出しているため、今回のクーデターによる影響は大きく、今後、アメリカなどとどのように協調していくかが問われる。

 ミャンマーは約半世紀にわたり軍政が敷かれ、2010年、ようやく、民主化運動の旗手とされたスー・チー氏を解放、議会もNLDが中心になって半分民主化が進んできたが、やはり、半分残された軍の強圧により、また、元の木阿弥に戻りそうな事態になっている。

 ASEAN10カ国の内、タイが軍政になってかなり長期になり、カンボジアも民主化が進まず、これにミャンマーがまた軍政に逆戻りすることになると、経済の面でも発展を阻害する要素に繋がる。

 本来、軍のクーデターは、時の権力の失政から民を解き放すことが最大の目的だと思うが、現在のスー・チー氏を実質的なリーダーに持つNLD政治が目に見えた失政をしたという情報はない。

 また、スー・チー氏は、ロシンギャ問題では軍の方針に逆らわず、国際社会化を失望させているほどだ。

 それなのに、クーデターに及んだ軍の目的は何なのか。軍の最高指導者ミン・アウン・フライン上級大将が政治権力に欲望を持っているのだろうか。

 軍は、国のため、政府のために存在するものと思うが、軍イコール政府の図式は決して好ましいものではなく、いずれは破たんする運命を背負うものと考えなければならない。

 ミン・アウン・フライン氏は直ちに拘束したスー・チー氏らを解放し、早期に正常化に努めるべきだ。

 

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