アメリカ、日本など太平洋を挟む12か国が自由貿易を目指す環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意され、今までベールに包まれていた内容がようやく明らかにされた。
日本が最後まで聖域にしてきた米、麦など重要農産物5項目では、牛タンやソーセージなど3割に当たる174品目の関税をなくすことになった。政府は、農産物全体では関税撤廃比率は19%と他国が100%の関税撤廃をした中では際立って低い率になったとしている。
TPP参加国の中で、日本が貿易をしている国としてはアメリカが突出して多く、あとはオーストラリア、シンガポールが輸出入でベスト10に入っている程度だ。
TPPに入っていない国では、中国、韓国、台湾などがあり、これらの国との貿易額はTPP参加国より断然多い。
従って、今回、TPPの大筋合意がされたといっても、日本にとってどれだけのメリットがあるのか、限定的と言える。
それよりも、アメリカ企業が他国の裁判所が出した結果に対してもISD提訴を行うことができることや、特許などの知的財産権などアメリカが有利な形で他国を席巻する要素が多分にあり、中国包囲網とする軍事的側面が含んでいるなど、手放しで歓迎できるものではない。
世界には161ヵ国が加盟している世界貿易機関(WTO)があり、現在休眠状態だが、本来はこのWTOで世界の自由貿易ルール作りを行うべきだ。
また、日本としては、WTOを基本にしながら、日本と貿易額の多い中国、韓国との日中韓自由貿易協定(FTA)、日韓経済連携協定(EPA)に本腰を入れることにより、各国がメリットを享受し、加えて近隣国の友好関係回復に繋がげることが必要ではないか。「関連:10月6日」