日本政府が、イギリスが中国からの投資を受けるなど、人権問題や南シナ海埋め立て問題に目をつぶって中国との接近をはかっていることに、G7構成国として苦言を呈したとのことだ。
ただ、その内容は非難するような厳しいものではなく、俗にいえばやんわりと「どうしてですか」という程度のものだったようだ。
イギリスは、中国が主導したアジアインフラ開発銀行(AIIB)にもいち早く参加を表明、ドイツ、フランス、イタリアなど西欧の先進国もこれに追随した。
AIIBには、アジア開発銀行(ADB)の中心を担う日本とアメリカは参加を見送り、ここでもG7参加国の足並みが乱れている。
東アジアで影響力のあるアメリカや、中国と仲が悪い日本に対し、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの西欧諸国については、中国に対する地政学的な利害関係がほとんどなく、むしろWIN・WINの関係とは言え、G7を構成する日米と西欧との協調関係にマイナス要素を呈していることは間違いない。
しかし、今回、イギリスが7兆円を超えるチャイナ資金を取り入れたことは、イギリス側は実を取り、中国側は名を取るという両国のしたたかな大人の外交を見せつけられたとも言える。
対して日本は、欧州とはいろいろな面で中国との外交関係に大きな相違があるが、安倍晋三政権はどちらかというと歴史認識にこだわりを持ち過ぎて、ことさら中国との経済関係に悪影響を生じさせている。
その辺のところに、外交にしたたかなイギリスと、教条的でゆうずうの効かない安倍政権との違いがありそうだ。「関連:10月26日」