先に安倍晋三首相が執念を燃やした安全保障法制が多くの国民の反対を押し切って成立した。言うまでもなくこの法律は、集団的自衛権行使により有事の際日本の自衛隊がアメリカ軍を直接的、或は側面から支援するための方策を定めたものだ。
ところで、日米安保条約はアメリカが日本を守り、その代わりに日本が基地の提供や思いやり予算などによって金銭的にアメリカを支援することが基本になっている。
よく言われるように、日米安保はアメリカが矛の役割を果たし、日本が盾の役割を帯びるいわゆる片務条約の形になっている。
ところが、今度の安全保障法制は、時と場合によっては日本も矛の役割を果たすことになり、今までとは逆に日本がアメリカを助けることも有り得ることになった。
そうなると、今までの条約の片務性は形が変わることになり、日本の基地提供や、思いやり予算など財政的な支援についても当然。条件変更が成されて然るべきだ。
政府は 思いやり予算支出の根拠となる原則5年ごとの特別協定が今年度で期限を迎えるため、改定に向けた外務・防衛当局者協議で日本側が減額を提案した。思いやり予算について、2015年度予算では1899億円を計上していたため、日本側の主張が通れば数百億円規模で減らせる可能性があるとのことだ。
アメリカは、日本政府の安全保障法制成立を歓迎しているが、歓迎するだけでなく、日米安保が変容するのだから、沖縄基地をはじめ日本にある基地の削減や財政的負担について軽減措置に応じるべきだ。
しかしアメリカは、日本政府が恐る恐る提案しただろう思いやり予算の削減について応じないようだが、日本としては、今回の安全保障法制により防衛費の増加は間違いなく、この際、安倍政権は基地削減とともにもっと強くアメリカに要求しなければならない。
それができなければ、一日も早く今回成立した安全保障法制の撤回を行わなければならない。「関連:9月21日」