老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

「受彰」という言葉

2018-11-05 20:48:00 | インポート

賞を受けることを「受賞」といい、勲章を受けることを「受章」といいます。
ところで、表彰されることを何というのでしょうか。「受彰」といいたいところですが、辞書には出ていないようです。
最新の『広辞苑』の第7版を見ても、出ていません。

文化庁やスポーツ庁、文部科学省、厚生労働省ではどう表記しているか、それぞれのホームぺージを見てみると、

「平成29年度文化庁長官表彰被表彰者の決定について」(文化庁)
「平成29年度生涯スポーツ功労者及び生涯スポーツ優良団体表彰被表彰者の決定について」(スポーツ庁)
「平成30年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定について」(文部科学省)
「平成29年度「はたらく母子家庭・父子家庭応援企業表彰」受賞企業決定」(厚生労働省)

などとあって、普通は、表彰を「受賞」(する)・表彰の「受賞者」あるいは「被表彰者」などという言い方をしていますが、中には、

「『総務大臣表彰』県内の2名の行政相談委員が受彰」「総務大臣表彰受彰者」(総務省ホームページ内、報道資料、平成24年10月愛媛行政評価事務所)
「平成29年度調理師関係功労者厚生労働大臣表彰 受彰者名簿」(厚生労働省ホームページ)
「今年度は、生涯スポーツ功労者156名、生涯スポーツ優良団体118団体が受彰され、式には、全国から個人及び団体の代表者を含めた計223名の受彰者が出席されました」(『文部科学広報』216号(平成29年11月号)の「平成29年度生涯スポーツ功労者及び生涯スポーツ優良団体表彰式」という記事)
受彰者を代表し挨拶される神白高子さん」(同記事の写真説明)

のように、「受彰」「受彰者」という言い方をしているところも見かけます。


新聞ではどういう方針になっているかというと、少し古いのですが、『読売新聞用字用語の手引』(中央公論新社、2005年初版)には、

「「受彰者」は使わず、「被表彰者」「表彰される人」などとする」

としてあります。

「受彰」ということばに抵抗を覚える人は、「受賞」は「賞を受ける」ということでよいが、「受彰」の「彰」は「広く知らせる、あらわす」という意味だから、「彰」を受ける、という言い方はおかしい、というふうに受け取る意味合いからであろうと思われます。
しかし、「彰」を「表彰」の略と考えれば、「(表)彰」を受ける、で一向に差し支えないと思われるのですが、どんなものでしょうか。「表彰を受賞する」「表彰の受賞者」という言い方のほうが、よっぽどおかしいと思うのですが。

国語辞書や新聞社も、そろそろ「受彰」という単語を認めていいのではないか、と思います。






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