老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

NHKの「試合結果の報道」について

2009-12-12 12:07:00 | インポート
今朝、12月12日土曜日のNHKラジオ第一放送を聞いていたら、「週末スポーツワイド」で、昨日から東京体育館で始まった柔道の「グランドスラム東京」の試合結果を報じていた。
「男子66キロ級決勝では、海老沼匡が、韓国の金周珍に、背負い投げで……」
と言うから、「あっ、やられたか!」と思ったら、
「……背負い投げで勝ち、優勝しました。」
と言っている。
なんだ、おどかすなよ。「金周珍に、背負い投げで……」と言えば、「敗れました」となる文脈じゃないか。勝ったのなら、
「海老沼匡が、韓国の金周珍を、背負い投げで破って、優勝しました」
と言うべきではないか、と朝から気分が悪かった。

他の試合も、同じように「(日本の)誰それが、誰それに、何何で、勝ちました」と言っている。
まさかNHKでは、退屈しているであろう聴取者を、はらはらどきどきさせてやろうという親切心から、わざとこういう言い方をしているわけではあるまい。

放送の用語や言い方については、専門家が検討していて、一応の基準が決めてあるのだと思うが、いろいろ疑問に思うことが少なくない。(注:「いろいろ」と言ったのは、勢いでそう言ったのであって、そんなにたくさんあるわけではない。)
ついでに言えば、先日のNHKテレビで、アナウンサーが「ティー字路(T字路)で、……」と言っていたが、これは正しくは「丁字路(ていじろ)」と言うべきであろう。これなども、おそらくアナウンスの注意すべき用語の一つに入っているのではないだろうか。素人に言われなくても、同僚が気づいて注意することができるはずのことだと思う。

いろいろ不満に思うことが多いのは、齢のせいなのだろうか。それとも、世間が落ち着かないせいであろうか。
いや、人間ができていないせいであるのかも知れない。
悟りを開いた人というのは、どういう気持ちで世間の出来事を受け止めているのであろうか。

ある年齢に達したら、かつての隠者のように、俗世間を全く離れて、テレビやラジオや新聞などに煩わされることなく、自然の中で、自然に親しみながら、粗衣粗食で、悠々自適の生活を送るのが好ましいのであろうか、――と、いつまでたっても悟りは得られず、気持ちは落ち着かない。