老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

少子高齢化・人口減少は「真に重大な国家的問題」

2020-06-01 17:54:53 | インポート
25歳だった1976年に自著でソ連崩壊を予測して、91年のソ連崩壊後に「予言者」として脚光を浴びたフランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が、「コロナ禍で見えたこと」として次のような指摘をしておられる、という記事が2020年5月31日(日)の読売新聞に出ている。

〇コロナ禍の軽重の違いは、文化人類学的に説明できる。軽度の国は権威主義か規律重視の伝統のある国で、重度の国は個人主義とリベラルの文化的伝統のある国である。
〇コロナ禍の特徴は、高齢者の犠牲者の多さである。歴史人口学者として冷酷のそしりを恐れずに指摘すれば、コロナ禍は高齢者の死期を早めたと言える。
〇重度の英米仏は適度の出生率を維持しているのに対し、軽度の日独韓中の出生率の低さは深刻だ。長期的視野に立てば、少子高齢化・人口減少こそが真に重大な国家的問題である。
〇先進諸国が中国に工場を移したため、中国はマスクや防護服を存分に生産できるのに、先進国はそれができなくなっている。先進諸国は中国経済への過度の依存から脱すべきである。これは国の安全保障に関わることであるから、生産の自国化を図り、中国が「世界の工場」である現状を打破すべきである。

トッド氏はこの他にも幾つかのことを指摘しておられるが、私が特に注目したのは、長期的視野に立てば、日本やドイツ・韓国・中国にとって、少子高齢化・人口減少が「真に重大な国家的問題」だ、という歴史人口学者としての指摘である。

 

実を言うと、介護のことを考えると少子高齢化は確かに問題だという気がするが、私には人口減少はそれほど問題だとは思えないのである。このことについては、私の無知と理解不足があるのだと思うが、長期的視野に立てば人口減少が「真に重大な国家的問題」だということについては、少し考えてみる必要があるように思われる。

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