老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

鉛筆やボールペンの持ち方

2009-10-11 12:27:10 | インポート
NHKの教育テレビなどで、子どもたちが生き生きと学習に励んでいる姿を、時々見かけることがある。子どもたちは、鉛筆を持ってノートに何やら必死に書きつけている。一生懸命な様子が、画面いっぱいに映し出された、鉛筆を握りしめた手の形によく表れている。
ところが、折角の素敵な番組内容であっても、そこに映し出された子どもたちの鉛筆の持ち方を見て、がっかりさせられることが多い。ほとんど全部といってよいくらい、子どもたちの鉛筆の持ち方が奇妙なのである。
鉛筆を垂直に近く立てて、力を入れてぎゅっと握りしめ、手前の親指が人差し指を覆い隠して、上方又は前方に大きく突き出ている。親指に隠された人差し指は、怒っているように反りかえっている。
なぜ、こんなことになるのであろう。どうしてもっと素直に、鉛筆が持てないのであろうか。
その子は、今まで鉛筆の持ち方について教えられたことがないのであろうか。あるいは、小さいときに家で鉛筆を持ち始めた際に、両親が持ち方を教えなかったために妙な持ち癖がついてしまい、幼稚園や小学校に入ったときに、その妙な持ち方に気づいた先生方が、「○○ちゃん、あなたの鉛筆の持ち方はおかしいよ。もっと素直に持って書いてみてごらん」と指導しても、妙な持ち癖のついたその子は、簡単にはその癖を直せなくなっているのであろうか。
あるいは、先生方が雑務に追われていて、鉛筆の持ち方の指導にまでは、手が回らないのであろうか。
文字や絵がかければ、鉛筆の持ち方などはどうでもいい、というわけでもあるまい。テレビで見かける子どもたちの鉛筆の持ち方が、ほとんど全部といってよいほど、奇妙な持ち方になっていることは、日本の教育のゆとりのなさを象徴的に表しているようで、まことに寒心に堪えない。
子どもたちばかりでなく、若い娘さんなどが奇妙な、見苦しいペンの持ち方をしているのを見かけると、ああ、どうせなら、もっと見た目に美しい、見る人が不快な感じを受けない持ち方ができないものであろうか、と思うのである。
一応、普通の(正しい)持ち方をしているように見える人でも、人差し指を、怒ったように反らせて持っている人が実に多い。そういう人を見かけると、「なぜ、そんなに怒ってペンを持っているの?」と、つい声をかけたくなってしまうが、実際にはそう無暗に声をかけるわけにはいかない。

「すごい暑い」だの、「すごい疲れた」だのと言っている若者──いや最近はりっぱな大の大人でさえもそう言っている人が多いが──を見かけると、「『すごい暑い』『すごい疲れた』ではない! そういうときは、『すごく暑い』『すごく疲れた』と言うのだ!」と言いたくなるが、これも今や、個人の力ではどうしようもない状況に立ち至っている。

世は末になるこそ無下になりゆくめれ、と誰かが言っていたように思うが、これらの嘆きも年寄りの愚痴というものであろうか。




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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2022-09-16 00:14:24
そんなちんけなことで苛ついてるほうが余裕ないんじゃないかと思う

子供の鉛筆の持ち方にああだこうだ言う暇があるなら自分の至らない所に目を向けろよって感じ
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鉛筆やボールペンの持ち方 (M.Asakaze(管理人))
2022-10-09 17:21:25
Unknown 様
コメントを拝見しました。
Unknown 様は鉛筆などの持ち方は気にすることはない、持って文字が書ければいいのだ、というお考えをお持ちのようですが、そうお考えになる方も大勢おいでかと思います。
ただ私は、例えば「~てほしい」を「~て欲しい」と書いてもいいではないか、と考えるお方もおいでなのですが、「~て欲しい」ではなく、「~てほしい」と書いてほしいと思うのです。
こうしたことは小さなことのようでいて実は大切なことではないかと考えるのです。
記事を読んで下さり、コメントをありがとうございました。
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