老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

8月のお盆

2011-08-14 15:03:00 | インポート
今年も、8月のお盆がやってきた。

3月11日の東日本大震災で墓石が一つ倒れてしまい、そのほかの3基も、台座の上で向きがずれてしまったが、結局、お盆前には修復が間に合わず、お仏様には申し訳ないが、もう少し我慢してもらうことになってしまった。
小さな提灯に火を灯し細竹に吊るして墓地の片隅に立て、お線香をあげてお参りをして帰って来た。

昔は墓地まで歩いて行き、お仏様をお迎えしてみんなと一緒に歩いて帰って来たのであろうが、今は車に乗ってお参りに行くから、お仏様も車に同乗して家にお帰りになるのであろうか。
「なんで提灯を吊るすの?」と孫に聞かれたが、聞かれてみると、お仏様はみんなと一緒に家へお帰りになるのだから、提灯を墓地に灯してくる意味がよくわからない。もしかしたら、本来はこの提灯を下げて、お仏様の目印にして夕方の道を歩いて帰って来たものであろうか。

そう言えば、提灯を下げてくる細竹も、今までは庭隅に生えていた細竹を切って、竹の笹葉の少しついたものを使っていたのだったが、今年はその竹もなくなってしまい、仕方なしに枯れた細竹のあったのを使って吊るしてきたのであった。
ご先祖さまは寂しく思われたであろうが、今の時代、止むを得まい、と了解されたことであろうと思う。お盆のしきたりも、こうして少しずつ変わっていくのであろう。

庭には、折からミソハギが薄紅紫色の花を咲かせている。ミソハギは、ちょうどお盆のころに咲いて仏前に供えられる花なので、一名ボンバナとも言うそうである。
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 みそはぎ(禊花)【名】(「みぞはぎ」とも)ミソハギ科の多年草。本州、四国、九州
     の山野の湿地に群生し、人家でも栽培される。高さ約1メートル。葉は披針
     形で柄はほとんどなく対生。初夏、梢上の葉腋に淡紅色の六弁花が群がっ
     て咲く。盆に仏前に供える。漢方では千屈菜と呼び下痢止めに用いる。和
     名は「禊萩(みそぎはぎ)」の略で、「溝萩」は誤用という。漢名、千屈菜。
     しょうりょうばな。(以下、略) 
         (『日本国語大辞典(縮刷版)』第9巻(小学館昭和56年)による。)

   なお、同辞典の「ぼんばな」の項には、山形県西置賜郡、新潟県、福井県、長
  野県下水内郡、岐阜県高山、愛媛県、島根県美濃郡吉田、宮崎県東臼杵郡南
  方では、「みそはぎ」のことを、「ぼんばな」とも言うとあります。