新たな食料・農業・農村基本計画の北海道ブロック説明会が4月22日札幌市内のホテルで開かれ、300人余りの農業関係者らが出席した。基本計画は将来10年間を展望し5年に一度改定されるもので、3月末に新計画が閣議決定され、全国10ブロックで説明会を開いている。
北海道農政事務所の鶴見所長が「新しい基本計画が3月末に閣議決定され、今後着実に進めていくことが必要で、現場の皆さんとキャッチボールしながら意識を共有するためにこのような説明会を開催した。新計画の内容では、食料自給率を現実的な目標としてカロリーベースでは現行の39%から45%へ、生産額ベースでは55%から75%へ引き上げる。新たにわが国の潜在的な食料生産力を「食料自給力指標」として示した。これによってわが国の食料自給力を広く共有して頂き、食料安全保障に対する国民的な議論を深めていきたい」と挨拶し、農水省の担当者が分野ごとに新計画の内容を説明した。
まず、荒川総括審議官が総論として農協改革の経緯、新しい基本計画の概要を説明。「この間政権交代、環境変化に伴う政策の変更を検討し、着実に取り組んできた。特に平成25年には4つの改革を実施した」と述べ、改革の内容を紹介した。新計画の狙いについて実現可能な食料自給率の設定などを行い、基本的な視点として「政策の安定性」などを重視したと解説した。
この中で、カロリーベースの食料自給率目標について50%を45%に引き下げたことに対する批判に応え、「目標ではあるが、現実を離れると指針として機能を果たせない」と述べ、決して簡単な目標ではないことを改めて強調した。また、「食料自給力は指標化しわかりやすくすべきという議論が従来からあり、食料供給の力を示す指標として初めて数値化した。所得倍増計画は、誤解が多かったが、農業の生産努力を進めて所得を向上させると同時に、6次産業化など関連所得を増やし、関連産業も振興していく」といった点を取り上げた。
この後、食料自給力の指標化は、決して戦争など事態を想定したものではなく、日本農業の底力、潜在力を評価したものであること。今回、食料の安全保障に関してリスク評価していくことを明記し、緊急事態への取り組み指針(緊急事態食料安全保障指針)を盛り込んだことが明らかにされた。
そのほか、農地の見通しは、現状の452万haがすう勢では32万haが消滅するが、政策による効果で平成37年時点で440万haを確保する計画。農業構造の展望は、基本法の原点に立ち戻り「効率的かつ安定的な農業経営を育成」するため、政策対象とする「担い手」を規定し、90万人の農業就業者が最低限必要になるとした。
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