水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

2018年6月5日(火)発行/北海道漁協系統通信6331号

2018-06-05 16:03:21 | 系統通信

太平洋クロマグロTACの配分量
北海道は小型魚8.3㌧と「必要最低限の混獲枠」に

「お魚殖やす植樹運動」30周年記念行事
ミズナラ、イタヤ、ニレの苗木750本を「水源の森」に植樹
記念植樹、木育イベントを通じて「100年前の自然の浜を」誓う

北海道漁業就業支援フェア2018 inさっぽろ
22名の漁師志望者が来場、6名が出展者から指名受ける

日本海スルメイカ北上期調査
青森県久六島沖は高密度も資源量は低水準 

工業試験場が成果発表会
ホタテウロから魚類摂餌促進物質の実用化を
11月に食料品製造業に特化したロボットセンター開設

道漁青連役員改選
小笠原会長・菅原副会長を再選、新副会長に大谷永氏

日本海沿岸ニシン漁獲速報(5月20日)
前年同期比143%の2,472㌧  初山別でさらに水揚げ

6月13日、道日本海沿岸漁業振興会議が総会


2018年6月1日(金)発行/北海道漁協系統通信6330号

2018-06-05 15:52:42 | 系統通信

道食産協が平成30年度定時社員総会
HACCP導入促進へ 各種衛生対策研修会を継続
新専務に前道経済部の多田聡史氏

道加工連が平成30年度通常総会
ロシア産ニシン・カズノコの取扱に注力
新理事長に永澤二郎氏(枝幸)が就任

道市場協会が平成30年度の定時総会開催
中川会長を再任 新たな取り組みに挑戦する気概を

平成30年度道冷凍事業協会定時総会
主要魚種の水揚げ減少、電気料金値上げで厳しい経営に
コスト削減、脱フロン化に対応し、北電に見直し要望

北海道地区海難防止強調運動推進連絡会議
29年の海難発生過去最少に さらなる海難減少へ運動推進

オホーツク海における毛ガニ漁獲実績(5月20日現在)
宗谷地区終漁 オホーツク管内は順次休漁 水揚げ再開後に期待


クロマグロの北海道TAC計画案 大型魚を漁船漁業に80㌧、定置に61㌧、道留保16㌧

2018-06-05 15:31:55 | ニュース

 道は国のクロマグロTAC配分を受けて、第4管理期間(7月〜来年3月)の北海道計画案をまとめた。6月5日の道議会水産林務委員会(冨原亮委員長)で報告したもの。

 遠藤俊充水産局長によると、クロマグロの知事管理量は30㎏未満の小型魚が8.3㌧で道が全量を留保する。大型魚は157㌧で同じく道が1割の16㌧を留保する。

 大型魚の漁業種類別・海域別の割当量をみると、漁船漁業は渡島総合振興局管内の海域(二海郡八雲町熊石地先を除く)が73㌧、その他海域が7.1㌧。定置網漁業は、南かやべ漁協地先が34.6㌧、渡島総合振興局管内の海域(南かやべ漁協地先、二海郡八雲町熊石地先を除く)が15.9トン、その他海域が10.4㌧。

 質疑に入り、久保秋雄太道議(自民、オホーツク西)が小型魚の管理量や海域・漁種別の配分、適正な管理対策、関係漁業への経営支援対策について道の対応を質した。

 道は、定置網に秋サケ、ブリに混じってマグロが入網することから、国に対し漁業実態や地域事情に配慮した配分量を求めてきた。小型魚は混獲枠のみで、大型魚の前期間の200㌧に対し160㌧未満に削減された。定置網の平均漁獲量は117.4㌧で、渡島が9割、南かやべが7割以上を占める。道は平成26〜28年の漁獲実績に基づき配分したもので、南かやべの定置網の漁獲実績が多いことから独立した配分を行った。小型魚は止む得ない混獲のみで、道が一括管理することで、採捕されれば速やかな海中放流を行う。

 小型魚がゼロになったことで、渡島総合振興局管内の一本釣り・はえ縄漁業への影響が心配され、幡宮輝雄部長は「経営安定に向けて収入安定対策の活用、マグロ収入減を補う養殖、他の魚種の付加価値対策を進めるほか、振興局に窓口を設置し、低利な資金の融資など影響が最小限となるよう取り組む」と述べた。


漁業経済学会が漁業制度めぐりシンポ 水産庁の「水産政策の改革」に問題点を提起

2018-06-05 11:22:38 | ニュース

 漁業経済学会の第65回大会が東京海洋大の品川キャンパスで開かれ、6月2日午前10時から『沿岸漁場の企業的利用と漁業権制度』をテーマにシンポジウムを行った。このシンポは加瀬和俊帝京大教授がコーディネーターとして企画し、水産庁の「水産政策の改革」を受けて養殖業を中心に漁業権の民間開放政策を批判的に検討した。タイムリーなテーマだったため、120人を超える参加者を集めた。

 最初に宮澤晴彦代表理事(北大)が「当初から企画していたシンポのテーマに関わる情勢が急転し、5月24日自民党に示された水産庁の改革案を無視するわけにはいかない。賛成反対いろいろな意見を出して頂き、シンポが広く議論のきっかけとなるよう期待する」と挨拶した。

 司会の佐野雅昭(鹿児島大)、田口さつき(農林中金)の両氏による進行でシンポに入り、佐野氏は「漁業経済に関わる者として今回の改革は避けて通れない。ぜひ傍観者にならずに、積極的に議論に参加してほしい」と述べ、コーディネーターの加瀬和俊氏(帝京大)が趣旨説明を行った。

 加瀬氏は、当初用意していたシンポの内容が水産庁改革案によって変更せざるを得なった事情を説明し「水産庁の構想は全面的な制度改訂であり衝撃的なもの」として①企業的魚類養殖業の漁場利用実態②行政機関の行政様式とその背景③制度改訂の依拠する論理と漁業法の理念の衝突④提案されている制度はうまく機能するのか?⑤地域経済への影響を考えるとのシンポの論点を整理し、各報告の構成を説明した。

 さっそく加瀬氏が「沿岸漁場の企業的利用をめぐる諸問題」を報告し、改革案の沿岸漁場利用に限定し問題点を指摘した。加瀬氏は「漁業者は結束し反対姿勢を貫くべき。全漁連の受け入れは全く評価できない。都道府県の行政との相互理解が大切。議論することで、互いの誤解が解かれ、改善の方向性が出てくる」と反対署名への協力を訴えた。

 そのあと、「マグロ養殖企業の事業展開と漁場利用」鳥居亨司(鹿児島大)、「復興特区における漁業権行使・経営の経過と展望」綱島不二雄(元山形大学)、「漁業権の解釈・運用の問題点」佐藤力生(元水産庁、熊野漁協監事)の各氏が報告。

池田成己(アクアネット編集者)、竹田英則(愛媛県愛南町久良漁協)、大森敏弘(全漁連常務)の3氏がコメントし、大森常務は「水産庁の改革案は我々が求めたものではないが、岸宏会長は浜が良くなると信じて受け入れると決断した。同時に浜に十分な説明と理解が必要と求めている。将来にわたり改革が進み、歴史的な評価を得られるようJFグループは取り組む」と前向きな対応を強調した。

 

総合討論 「秘密裏」「説明なし」の決定プロセスに不満

  総合討論では、佐野氏は「企業参入をきっかけにより良い沿岸漁場の利用制度となるよう考えるが、報告を通じて今回の改革案の課題や問題点も見えてきた」と述べ、各報告者への質問、意見など会場との質疑、討論が交わされた。

 その中で、濱田武士氏(北海学園大)は「民間企業の養殖業参入は現行法でもできるのに漁業権制度を変えるのは、宮城県の水産特区を教訓にしていない」、佐藤氏は「漁業は現場が先行して制度がそれを追ってきた。制度が先行して現場を変えた例はなく、必ず失敗する」と苦言を呈した。また「今回の改革はずっと秘密で、都道府県にも説明していないし、漁業者は何も知らない」(濱本俊策香川県海区漁業調整委員会会長)、「改革案には養殖の将来ビジョンがなく、それを実現する制度改正になっていない」(濱田英嗣下関市立大教授)、「これが実現すれば、企業と漁協の力関係が変わり、企業の性質が前面に出て、漁協の交渉力で優劣がつく」(島居氏)といった懸念も出された。

 こうした意見に対し、大森常務は6月1日の農林水産業・地域の活力創造本部で改革案がそのまま決定され、安倍首相のゴーサインが出たことを踏まえ「情報が少ない中で、全漁連はそのつど情報を提供し、理事会に対応を一任させてもらった。これだけのスピードで決まった改革なので、浜への説明や理解はこれからだと考えている」と述べた。「今回の改革で漁協にとってプラス面もあるが、株式会社化すれば外資が入る。その規制をどうするのか」(山下東子大東文化大教授)との問題提起も。

 最後に加瀬氏は「いわば秘密裏に改革の成案ができ、決定されたプロセスにもどかしさを感じる。9月の法制化に向け、改めるべき部分は改めてもらう必要がある。開かれた議論が交わされ、多くの論点が出てきたのは良かった」とまとめた。

 シンポのあと、加瀬氏と報告者は有志で共同記者会見を行い、反対の声をあげるよう訴え、著名活動の趣旨を説明。「署名は個人の立場で漁業経済学会の総意ではないが、50名の会員の賛同を集め、9月の法制化に向け反対の意志を表明する」方針を確認した。