水産北海道ブログ

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月刊『水産北海道』8月号が出ました。TPP大筋合意見送り、波乱の夏。

2015-08-10 10:06:19 | 月刊水産北海道

 8月は本来、北洋サケ・マス、沿岸の春定置も終わり、イカ、サンマ、コンブ、ホタテの盛漁期に入り、マス定置、さらには秋サケ定置の準備の時期となります。主要魚種の来遊漁期、漁場形成がずれるのは今シーズンも同様で、地球温暖化、レジーム・シフトのせいかと話題になります。

 漁業の政策転換に大きな影響を与えると想定されたハワイ・マウイ島におけるTPP交渉の閣僚会合は大筋合意が見送られ、次回開催時期も決まらなかったことからWTOドーハ・ラウンドと同様に「漂流」する可能性も指摘されています。8月中の会合は断念され、9月以降の交渉再開というスケジュールはあるものの、先行きに不透明感が強まっています。

 そこで、8月末に予定されていた28年度予算の概算要求は、TPP関連抜きということで、通常の予算編成となり、TPPが大筋合意すれば、補正予算で対応という見通しです。8月号では概算要求に向けた要望事項、新しく求められている担い手(漁業後継者)支援、浜の活力再生プランなどを取り上げました。

 そのほか8月号は、夏休み前に出て秋サケの来遊予想を踏まえた生産・流通動向の記事、各地の漁協販売取扱動向(胆振・日高・十勝管内浜回り)、各種のイベント・研修会などを掲載しています。

 7月末から8月にかけては中央省庁の人事異動の時期であり、本川一善水産庁長官が農水事務次官に就任、新しい水産庁長官に佐藤一雄官房長というニュースも飛び込んできました。本川長官は3年にわたり、クロマグロの資源管理など難しい水産課題に取り組んだことが評価されたそうです。ロシア水域の北洋サケ・マス流し網の禁止問題では、佐藤英道大臣政務官と来道し、道東の各水産都市を回って漁業者の話を聞いてもらいました。

 8月号の表紙写真は、「ナマコ漁解禁。エビ篭漁業も順調に操業中」(羽幌漁港)で、北るもい漁協のナマコ、ホタンエビ漁の様子を取材したもので、活気のある浜の風景(写真・取材とも鈴木記者)が映し出されています。

 最初に戻ると「TPP大筋合意見送り、波乱の夏。」とは政府ではTPP大筋合意が出たらすぐに打ち出す政策がすでに決まっており、最短で予算化されるはずだったのが、ちょっと見通しが外れたことを意味しております。また、大筋合意見送り前、大手新聞社(読売、朝日)では、政府が水産物の関税を撤廃する方針を固めたとの報道が大見出しで出ました。クロマグロやサケ・マスなど大半の水産物の関税を撤廃するという内容で、いずれこれが例の衆参両院の「国会決議」に反しないのかどうかが問われることになりそうです。