絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

ルーベンス キリスト降下

2012-12-05 | 美術
司馬遼太郎の「街道をゆく」35 オランダ紀行を読んでいたら、ルーベンスのキリスト降下のことが書いてあった。

 

この絵は、フランダースの犬のラストシーンで出て来る。この絵の前で、ネロとパトラッシュが凍死したのだ。

私は、この絵は、ルーベンスの絵の中でも最高傑作だと思う。
テーマと構図、明暗のコントラスト、どれをとっても最高である。

だから、何も考えず、ただ素晴らしいと思っていた。

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今回、司馬遼太郎さんの本を読んでいて、あれっと思ったことがある。

このキリストは、支えられてない。
右下にいる人が、体をエビ反りにして、受け止めているようになっているが、
果たしてきちんと受け止めているだろうか。
エビ反りになるほどは、重さがまだかかっていない。
それは、上の人がしっかり重さを支えているからだろうと思って、目を上に上げるが、
あれ??、このキリストの重さを支えるだけの持ち方をしていない。

どうでしょうか。

だから、この絵は、ダメだという訳ではありません。
ただ、いままで、素晴らしいと思うだけで、そこまで見ていなかったことに気づきました。

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司馬さんは、周りにいる人がユダヤ人のはずなのに、オランダやベルギーの人になっていると言われていると書いた。
ほお、そうなのか?人種的にも、着ている服も、地域と時代があっていない。
なるほど、言われてみればそうだ。

しかし、時代劇がそうであるように、いろいろな意味で、描かれた時代に合せて変化するのは、仕方がないのだろう。
時代劇は、今の時代の俳優がやるために、秀吉のような猿などと言われた人でも、素敵なかっこいい俳優さんがやることがある。だから、歴史上の人物はみんな美男美女になってしまう。また、結婚した女性はお歯黒というものを塗った筈だが、それをやらない。見栄えが悪いからだろう。

それと、似たように解釈すれば良いのかなと思う。

キリストは、ユダヤだけの人ではなく、人類にとっての存在なのだから。

 
コメント
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