絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

Sさんの構図 7

2012-09-04 | 通信指導
Sさんの構図の研究の続きです。



この構図のメインは何でしょうか?
まず、構図のメインは画面の中央に近い部分に置くということが、一般的です。
画面の中央から離れれば離れるほど、メインらしくなくなります。
画面の端にメインがあっても、メインとして成り立つには、それなりの工夫が必要です。

人物画などでは顔がメインになりますから、画面の中央と言うよりは上の方になることが多いでしょう。
その場合は顔に勝てる物はほとんどありませんから大丈夫ですが、静物画などではなかなか端に置いても主役として良い感じにするのは難しいです。

この場合は、位置的にはオレンジの箱がメインです。
しかし、右上に扇風機があります。同心円というのはかなり強いです。四角い箱より扇風機の丸い部分の方が目立ちます。
では、主役は扇風機かというと、その扇風機を魅力的に見せる構図にはなりきれていません。むしろ主役の箱を邪魔している存在のような感じです。もっと言えば、ややひょうきんです。

また色的にも全体が地味な感じなので、オレンジの箱が目立ちます。

だから、オレンジの箱がメインにならないといけないでしょう。
ただしこの箱は、形がきちんとしていて面白みが足りません。
形としての魅力に欠けるのです。文字も同じオレンジなので、あまり目立ちません。
もし文字が青とか緑なら、またはもっと黒に近い暗い文字なら、インパクトがあるかもしれません。

それにしても、扇風機は邪魔な感じがします。

このように、メイン(主役)のものと脇役のものとの関係を考えることが、構図を考えるということです。

いまやっていることは、絵を描く上で最も重要なことです。
実はこのことに充分な時間をかける画家が少ないのです。適当に組んでこれでいいやという人が多いです。
だから構図が悪いまま平気で描きだしてしまいます。それでは良い絵になりません。

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指導者もほとんどの人が、それを指導できません。多くの指導者は、その部分をそれが画家のセンスだと考えているようです。

私はそうではありません。その部分も指導できると思っています。

だから私は、「描きだす前に、絵は80パーセント決まる」と言います。
初心者なら尚更です。
80パーセントというのは、言いすぎに聞こえそうですが、実はダメな構図なら100パーセントダメですから、良い構図になった時点で、良い作品になる可能性が80パーセントあるのです。

作業としては、このテーマと構図が半分と考えてください。
半分の作業が終わったようなものです。
そしてその後はデッサン力と色塗りの力です。

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Mさんの100号油絵3

2012-09-04 | 絵画指導
Mさんの100号が完成しました。



撮影の状況が悪くて、上の方が白けてしまいました。見え難くてすみません。

とても良い感じになりました。途中背景を変えたりしていろいろ苦労しました。
今年の秋の一水会展に出品します。
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